量的緩和政策の効果:実証研究のサーベイ

 日銀鵜飼氏が量的緩和策の効果について実証分析のサーベイを行っています。暇な時のお勉強ネタとして確保。帰宅時の電車の中で読む予定。http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp06j14.pdf

本稿は、日本銀行が2001 年3 月から2006 年3 月まで採用した量的緩和政策の効果に関する実証研究のサーベイである。サーベイによると、量的緩和政策の継続に関するコミットメントが将来にわたりゼロ金利が継続されるとの予想を醸成し、短中期を中心にイールド・カーブを押し下げる効果は明確に確認された。日銀当座預金残高の供給増については、これが上記の予想を補強する局面もみられた。マネタリーベースの拡大や日本
銀行の資産構成の変化がポートフォリオ・リバランスを生じさせる効果の有無については結果がわかれ、効果があったとする実証研究でもコミットメントの効果よりは小さかった。量的緩和政策が様々な波及メカニズムを通じて日本経済に及ぼした影響をみると、企業金融面で緩和的な環境を作り出したとの見方が多い。特に金融機関について、市場からの資金調達コストを抑制し、資金繰り不安を払拭したとの結果が得られている。一
方、総需要・物価への直接的な押し上げ効果は限定的との実証結果が多い。その理由として、ゼロ金利制約以外に、企業のバランスシート調整等に依るところが大きいとの分析結果が示されている。