2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

今こそ癒し(リフレ)が必要な時なのです。

リフレ政策とは「経済へのリフレクソロジー」です*1。デフレにより硬直化した経済をマイルドなインフレにより優しく揉み解し、活性化させ、癒しを与える政策です。そして、癒しの対象は経済の担い手である我が国の人々全員に向けられているのです。 勿論癒し…

藻谷浩介「実測!ニッポンの地域力」

何度か仕事でお世話になっている日本政策投資銀行の藻谷さんの新著。地域を歩きつくした上での視点と様々な統計を駆使した上でのお話は興味深く、つい引き込まれてしまいます。まだ本書の内容を拝見していないのですが、「地域間格差は拡大する一方だ」とい…

FEDの利下げが期待インフレ率に与えた影響

既にご存知のところでしょうが、Econbrouser 及び Mankiw先生のブログより。 (http://www.econbrowser.com/archives/2007/09/forward_rates_a.html) (http://gregmankiw.blogspot.com/2007/09/jump-in-expected-inflation.html) 利下げを行った段階で期…

貿易歪曲効果に関する先行研究

※数年前に某所で資料として作成したもの。ほぼ1日で作成したので苦し紛れですが・・。ご参考まで。 - 貿易歪曲効果とは、各国が行っている差別的な措置に伴い各国間の貿易が歪められてしまう効果を指している。以下では、特恵の浸食(preference erosion)に…

グリーンスパン「波乱の時代(上)、(下)」

昨日本屋に行きましたら、山岡洋一・高遠裕子氏の訳でグリーンスパンの自伝の翻訳本(上下巻)が11月に出るとのチラシが出てました。む〜ん・・。今英語版をコツコツ読んでいるのですが、翻訳本も買うだろうなぁ。波乱の時代(上)作者: アラングリーンスパン,…

「経済政策形成の研究」第6章〜第8章に関する暫定的感想

※書籍全体についての感想は全ての論説について取り上げてから纏めたいと思いますが、既エントリの部分に関連しての暫定的な感想です。いくつか言い足りない点はありますが、それは追々考えつつ機会を見つけて記載していきたいと存じます。当ブログのポリシー…

小野善康「ケインズ『一般理論』と不況動学−『不況のメカニズム』(中公新書)」報告会メモ

本日15時から専修大学にて掲題の報告会が開催されました。参加自由ということなので、私も隅っこで先生方の議論を拝聴しました。 野口先生、平井先生、田中先生、大和総研原田さん、稲葉先生(お会いしたことないので断言できないのですが・・多分)、以前仕…

Bernanke and Reinhart(2004)

Bernanke and Gertler(1999)に引き続き、某所での要約を少し編集したもの。誤りなどございましたらお知らせ頂ければ幸いです。宜しくお願いします。Bernanke, B.S, and V.R. Reinhart, “Conducting Monetary Policy at Very Low Short-term Interest Rates…

小野善康「不況のメカニズム」合評会にむけて

稲葉先生、田中先生のブログを見るとリマインドが出ていますが、IS-LMモデル以降のマクロ経済学の枠組みは本からしか学べなかった=独学(涙)自分としては、マクロ経済学の話題について議論が聞けるのは非常に楽しみです。理解が追いつけば又ブログに議論の…

Bernanke and Gertler(1999)

そういえばサーベイの欄を立てていたものの、殆どアップしてませんでしたorz..有名な論文をコツコツ読みつつ、要約と捕捉を作っていこうかと思います。ということでまずは某所で作成した要約をちょこっと変えたものを掲載。誤読等ございましたら是非ご指摘く…

緊急特別企画 福井総裁退任

ロイターのニュースメールの題名。「緊急特別企画 福井総裁退任、米サブプライム問題で、どうなる円相場!?」今メールが届いたのですが、仕事しつつボヤーッと新着メールの残像を覗いたら目が点になりましたよ(笑)。 今般の難局に耐え切れず退任発表した…

Bruce E.Hansen,Econometrics

New Economist経由。ウィスコンシン大のHansen教授による計量経済学のテキストブック。無料で読めます。ざっと目を通したのですが、後半部分(特にパネルデータとかノンパラメトリック推計とか時系列分析とか・・・)はまだまだこれから書き込む感じでしょう…

米国FFレート利下げ(0.50%ポイント)

予想されていたところでしょう。粘って動向を追う気力&体力もなく、利下げするだろうなぁと思いつつ就寝。FEDはどこかの厨銀とは違うのである程度の水準の利下げを行うと思いましたが、これもやはり予想通り。株価が急騰しているところをみるとそれなりの効…

「経済学的発想」と「反経済学的発想」という枠組みがもたらすもの

野口(編)「経済政策形成の研究」第八章に所収されている松尾匡教授の論文「「経済学的発想」と「反経済学的発想」の政策論−マルクス経済学から」は、「経済学的発想」と「反経済学的発想」の相違をマルクス経済学の立場から描いたものである。勿論マルクス…

消費税の「社会保障財源化」・「社会保障目的税化」は正当なのか

社会保障の問題に絡んで消費税の引き上げが話題に上がっている。これは高齢化の進展とともに社会保障給付費が増加することが予想されていること、例えば08年度から後期高齢者医療制度の新設や09年度には基礎年金の国庫負担割合を従来の三分の一から二分の一…

Alan Greenspan, THE AGE OF TURBULENCE

韓リフ先生のところには随分前に到着の模様ですが、自分は今日やっと購入しました(汗。丸善では山積みになってましたが・・ネット経由の方が遥かに安いです。結構分厚いですが読みやすいですね。電車の行き帰り読書でコツコツ読むことにします。The Age of …

「現代マクロ経済学における共通理解」とは何か(その2)

※宜しければ(その1)も合わせて御覧頂ければ幸いです。3.インフレ期待は高めることができる。 (その1)で取り上げた「修正されたIS-LMモデル」で得られたインプリケーションは、以下の点であった。「期待要素をおりこんだ修正されたIS-LMモデル」の含意 …

「現代マクロ経済学における共通理解」とは何か(その1)

野口(編)「経済政策形成の研究」第七章所収の浅田統一郎教授*1による「デフレ不況と経済政策」は90年代後半以降のデフレと並行して生じた不況の原因と処方箋に関する、多くの経済学者によってほぼ合意されつつある共通理解について論じた論文である。 勿論…

安倍首相、辞意

う〜ん・・このところの安倍首相の判断というのは良く分からないですが、参院選の結果以降、ご自身の中では辞任の二文字が浮かんでいたのでしょうか。比較優位を尊重してこれ以上の言及は控えます(笑)。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070912it…

誰が原油危機の心配をしているのか?

ということで、New Economistよりノードハウス先生の御言葉(http://www.econ.yale.edu/~nordhaus/homepage/Big_Bad_Oil_Shock_Meeting.pdf)。なんか某所でも話題になってるようですが、過去のオイルショックと比較すれば当然ながら備蓄等々の対応も含めて…

トムソンのノーベル経済学賞予測にちなんで

今年もノーベル経済学賞の季節がやってきましたね。某スレで知ったのですが、トムソンの予測がでています。 (http://scientific.thomson.com/nobel/econ/)候補者といいますと・・・Helpman & Grossman →貿易と経済成長 (む〜ん・・Krugmanは?) ・Wilson…

エコノミストの分析能力

吉岡さんのブログから(http://pokemon.at.webry.info/200709/article_16.html)。取り急ぎ雑感のみですが、このところの景気指標の動向をどうみるのか?という点は仰るようにエコノミストの力量が問われるところだと思います。否定的に解釈すると、元々弱い…

デフレに対する有効な政策がなぜ受け入れられないのか

一昨日紹介した野口(編)「経済政策形成の研究」所収の第六章「平成デフレをめぐる政策論議 インサイダーの視点から」と題した論文は、イェール大学教授で経済企画庁経済研究所顧問、経済社会総合研究所所長を歴任された浜田教授による「政策現場のインサイ…

備忘録メモ

New Economist経由。Farmer教授の「Old-Keynesian Economics」。(http://farmer.sscnet.ucla.edu/NewWeb/Keynes_Project/Keynes_Page.htm) 小野先生の「不況のメカニズム」に関する研究会までに読んでみたいと思いますが・・。無理だろうなぁ。

野口旭(編)「経済政策形成の研究」

韓リフ先生からお知らせいただいたとおり、やっと刊行されましたね。楽しみにしていたので本当に長かった・・・。とにかく書店で見つけられたら野口先生の序章を読んでみるべし。政策決定を行っているのは伝統的な経済政策論が意図しているような、全知全能…

OECD Economic Outlookの見通し修正

最近の米国住宅市場の低迷に伴う下振れ要素を加味して、米国のGDP成長率は下方修正されてますね。各国の経済状況が効果的なチャートで纏められているので、図だけを見ていても理解が進みます。 例えば、他国と比較した我が国の経済状況として印象的なのは、1…

財政赤字拡大の原因をどう考えるか

昨日のエントリでは財政健全化に関して与謝野官房長官の「名目成長率上げればいいという悪魔的政策は国民に迷惑」という発言を元に、基本的な経済指標を元に我が国の財政赤字拡大の原因が名目成長率の低下にあるのではないかと論じた。以下、補足的に我が国…

悪魔的インフレ政策は本当に国民に迷惑なのか?

財政健全化に関連して「名目成長率上げればいいという悪魔的インフレ政策は国民に迷惑」とは一昨日の与謝野官房長官の発言である。どの国民に対しての発言なのかは寡聞にして分からないが、少なくとも私が日本国と信じている極東の島国に住んでいる自分にと…

植草一秀「知られざる真実 勾留地にて」

韓リフ先生のコメントに興味を引かれて購入。第一章が時論、第二章が生い立ち等々、第三章が雑感といった内容の書籍。第一章から読んでいますが、鋭い批判的言辞が展開されています。植草氏の為したことが真か偽かは私には分かりませんし、それは司法の場で…

テイラー・ルールと米国住宅市場

9月1日のエントリ*1も興味深いが、Econbrowser*2でHamilton教授がテイラー・ルールと昨今のサブプライム市場との関係についてのTaylor教授の議論(Taylor(2007))を紹介している。以下、簡単に議論を紹介することにしたい*3。 テイラー・ルールとは、本ブロ…