2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

竹中平蔵「ポリシー・ウォッチ “大きな誤り”の始まり」を読む。

*1標題は竹中氏が定期的に公表しているポリシーウォッチ(http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080818/plc0808180311001-n1.htm)のタイトルだが、今回の議論は承服できない。 まず竹中氏は、政策の基本的な方向という点について、中国と同じく我が国…

2008年4−6月期SNA(一次速報値)の結果から

1.一次速報値所感 本日朝に内閣府から08年第2四半期のSNAの結果が発表された。実質GDP成長率については昨日公表されたESPフォーキャスト(http://www.epa.or.jp/esp/fcst/fcst0808s.pdf)の結果(年率マイナス2.04%)よりも悪く、前期比マイナス0.6%、年…

大瀧雅之「平成長期不況―政治経済学的アプローチ」

東大出版会のサイトで以前紹介があったものですが、7月末に刊行されていますね。今度本屋に行ったら購入してみよう。平成長期不況―政治経済学的アプローチ作者: 大瀧雅之出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2008/07/01メディア: 単行本 クリック: 3回こ…

「特集 インフレを克服する日本」(Voice9月号)を読む。(その3)

4.「本物のインフレ」は生じない。 原油や穀物価格の高騰が消費者の懐を直撃しており、「インフレ」に関する報道が盛んに為されているところである。生活者から見た「インフレ」をどう見たらよいのだろうか。上野泰也氏の論説は、日米欧の物価動向を概観し…

「特集 インフレを克服する日本」(Voice9月号)を読む。(その2)

3.支離滅裂な「金利上昇の繁栄論」 「又か」との感想をお持ちの方も多いだろうが、松田哲氏は「金利上昇の繁栄論」と題して、今後さらにインフレが進んだ場合に「円高インフレ」が生じると論じている。氏によれば、円高インフレとは「インフレの進行ととも…

「特集 インフレを克服する日本」(Voice9月号)を読む。(その1)

世界経済においてインフレが昂進している。Voice9月号では、このインフレをどのように克服していくべきか、我が国経済への影響をどう見れば良いのか、という点を中心に、各氏が論説を寄せている。以下では、各氏の論説の中で印象的な点を取り上げつつ、感想…

「不況に関する二つのビジョン」が教えてくれるもの

この所、竹森俊平「経済論戦は蘇る」を読み直している。同書は改めて紹介する必要は無いだろうが、我が国を襲った経済停滞に関する経済論戦を大恐慌期の経済論戦と対比しつつ論じるというものである。同書で掲げられているフィッシャーとシュムペーターの発…

矢部洋三「現代日本経済史年表―1868〜2006年」

日大の矢部先生らが定期的に更新されている現代日本経済史年表ですが、「2000年以降がないなぁ」と思っていたところ、2006年まで更新されていたのを発見。確かこれで三回目の改訂かと思いますが、有難い限りです。各年代の経済の出来事、及び社会動向、主要…

DSGEモデルの理解のために

つたないながらもコツコツDSGEモデルの勉強を進めていますが、その際にお世話になっている著作は以下でしょうか。Galiの本はコンパクトに纏まっていて良い感じです。適宜加藤涼「現代マクロ経済学講義」で補えばよいかと。又、パラメータ推計等々についてはD…

経済の持つ二面性とインフレーション

1.経済の持つ二面性とインフレーション 経済学における重要な関心事の一つその二面性・多義性である。例えば投資は総需要の一要素(投資需要)として存在する一方で、資本として蓄積し生産力、つまりは総供給の一要素として存在するわけである。同様の事実…

当ブログについて

本ブログは主に経済関連について展開されている論考をネタに備忘録的に論じるというものです。コツコツ書いていきますので宜しくご覧ください。尚、管理者権限で頂いたコメント及びトラックバックにつき予告無く削除することもありますのでその点はご容赦く…

高齢者は本当に弱者なのか?

小泉政権下で創設された後期高齢者医療制度の評判が芳しくないのは周知の事実である。政府はそれを見て取って名称を長寿医療制度と変更したが、名前を変えたといっても内実は同じであることには変わりはない。 中央公論8月号で原田泰氏がこの後期高齢者医療…