2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャン・ティロール「国際金融危機の経済学」

Tiroleによる第六回パオロ・バフィー金融財政講義(於イタリア中央銀行)の模様を訳した書籍。先日読書感想文を書いた竹森先生の新著、及びスティグリッツの書籍の良い交通整理になりそうだと思い購入しました。内容はというと新興市場における金融危機の発…

雇用関連統計(07年9月値)の結果から

1.労働力調査(9月)の結果 本日(30日)労働力調査の9月結果(速報値)が公表された。就業者数、失業者数を見ると6422万人(前年同月9万人減)、269万人(前年同月11万人減)と対前年では減少している。季節調整済みの失業率は4.0%となり、8月結果(3.8%…

竹森俊平「1997年−世界を変えた金融危機」を読む。

「世界経済の流れには節目となる年がある。近年でいえば1997年がそれだ。」との一節から始まる竹森教授の新著は、1997年に生じたアジア金融危機及び日本の金融危機の前後における世界経済の動きを分析した好著である。 我が国の金融危機、つまり北海道拓殖銀…

リチャード・セイラー「セイラー教授の行動経済学入門」、山本直治「人材コンサルタントに騙されるな!」

大竹先生が以前お知らせされていたのを拝見して、行動経済学会に入れていただいたのですが、中々行動経済学そのものの思考にまでは勉強が至らず(涙。ということで本書でも読んで勉強してみようと手に取った一冊。セイラー教授の行動経済学入門作者: リチャ…

Simon Johnson氏のブログ

メモ代わり。IMFのWEOを担当されたりしているSimon Johnson氏のブログ。はじめられたばかりの模様ですが、中々面白いですね。とりあえずご参考まで。http://blog-research.imf.org/imf_research/

J.E.スティグリッツ「スティグリッツ教授の経済教室」

週刊ダイヤモンドに掲連載されているスティグリッツのコラムに修正を施したもの、及び第一章論考(書き下ろし論文)のドッキング版。第一章の論考は竹森先生の新著と合わせて読むと面白いかもしれません。しかしこれだけ集まると壮観ですねぇ。 来週月曜日の…

90歳の誕生日

ノーベル経済学賞を受賞されたハーヴィッツの90歳の誕生日の模様。長生きって良いですねぇ〜。 宇沢先生、丸山先生、川又先生、といったミネソタつながりの日本の先生方もいらっしゃいます。 アロー、マクファーデン、アン・クルーガー、チップマン、といっ…

貿易財に体化された生産要素の輸出入の推計

大和総研原田さんの論説から(http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm?i=20070928c3000c3&p=1)。原田論説では、輸入拡大こそ人口減少対策の妙案として、日本の労働人口が減少していく中で、たとえ移民といった形で海外労働者の受入れを進めなくても、…

ユリイカ2007年9月号の安彦良和特集

韓リフ先生が安彦良和の「ナムジ」、「神武」、「虹色のトロッキー」を読まれたとのお話にちなんで。昨日本屋に行きましたら、偶々ユリイカの9月号で安彦良和特集が組まれているのを発見し、即購入。安彦良和自選ギャラリーの絵&表紙の絵が素敵。インタビュ…

竹森俊平「1997年-世界を変えた金融危機」

竹森先生の新著。97年のアジア通貨危機以降の国際金融の動きを竹森先生の視点で解説した書籍。中央公論論説を柱としながらナイトの不確実性やサブプライム問題といった話を少し掘り下げて論じた本との印象を持ちました。まだ他に読みきれていない本がありま…

ノーベル経済学賞2007年受賞者

諸事情により、世界最速レベルでのアップ(笑)は無理な状況と相成りました。明日エントリしたいと存じます。 お好きな方はライブで日本時間20時頃の発表まで視聴するというのはいかがでしょうか?http://nobelprize.org/prize_announcements/economics/live…

小峰隆夫「変転する消費者物価の認識」を読む。

最近、消費者物価に関する報道やブログでの反応が相次いでいるが、法政大学の小峰先生も論説を書かれているので紹介しつつ感想を述べることにしたい(http://bizplus.nikkei.co.jp/keiki/body.cfm?i=20071005kk000kk&p=1)。 小峰論説では、変転する消費者物…

金子さんにおとり上げ頂きました。

金子洋一「エコノミスト・ブログ」(http://blog.guts-kaneko.com/2007/10/post_354.php)より。 韓リフ先生のブログでのコメントをご覧頂いたのだと推察していますが、金子さんのブログでおとり上げ頂きました。御礼申しあげます。 私も自分の仕事等を通じ…

ノーベル経済学賞発表時期のお知らせ

mixiでhicksianさんが追加的にお知らせされていましたが、来週月曜日(15日)の午後1時の模様。時差を調べておかないとなぁ・・。どなたが選ばれるのか楽しみ。http://nobelprize.org/prize_announcements/economics/

「無風状態」の10月金融政策決定会合

10日、11日の予定で審議されていますが、有力「日銀ウォッチャー」15人全員が現状維持。結構珍しいんでしょうか。ECBは現状維持路線、FRBは利下げするか五分五分と見るむきもありますが、私は利下げを行うとみています。以上の海外状況を踏まえつつ、芳しく…

高橋洋一「財投改革の経済学」

竹中・中川ラインの懐刀である高橋氏の新著。同書の特徴は、財政投融資を中心とする公的金融システム改革について、金融資本市場の自由化(市場化)の動きと国民のガバナンスという観点からみれば、財政投融資改革、郵政民営化、政策金融機関の廃止・スリム…

城山三郎と「大義」

今年のNHKの戦争物の企画は、「なぜあんな戦争をおこしたのか」という点に興味を持っている自分にとっては非常に興味深いものだ。特に一兵士として戦争を体験された方々のお話は興味深い。さて、幸運にも週末にNHK ETVの「城山三郎 昭和と格闘した作家」(ht…

「経済学的発想」調査(by松尾先生)

韓リフ先生のブログでのやり取りに即して、早速松尾先生が「経済学的発想」調査をされています。拙ブログもリンクいただき誠にありがとうございます。御礼申しあげます。「経済学的発想」調査 (http://www.mii.kurume-u.ac.jp/~tadasu/essay_71004.html) …

齊藤誠「家計消費と設備投資の代替性について:最近の日本経済の資本蓄積」

今年の日本経済学会秋季大会の石川賞講演論文。興味深い論点がいくつもあると思いますが、取り急ぎ論文中の要約のみ記載します。以下の要約中にある分析結果として記載されている側面はデータで把握されている現象ですね。備忘録。 http://www.econ.hit-u.ac…

アンドルー・グリン「狂奔する資本主義」

本書は西欧、北米、日本、オセアニアといった先進諸国の経済発展の変容(低インフレ率、労使関係の安定化、資本の自由化、市場への信頼)がどのように変化しつつあるのか、を株主価値の追求、企業汚職、中国の輸出拡大、ニューエコノミー、グローバリゼーシ…

経済政策において既得権益と既得概念はどのように作用するのか(その2)

※宜しければ(その1)に引き続きご覧下さい。3.経済政策における「対立」の意味 (1)経済政策における「対立」の意味 「既得概念」(=認識モデル=観念)に基づく「既得権益」(=利害)が政策形成において影響力を持つという形で経済政策を捉えると、経…

経済政策において既得権益と既得概念はどのように作用するのか(その1)

「経済政策形成の研究」第一章では野口旭教授と浜田宏一教授が「経済政策における既得権益と既得概念」と題して論文を書かれている。本論文のポイントは題名にもあるとおり、経済政策において既得権益と既得概念がどのように作用しているのか、という点だろ…