高橋洋一「財投改革の経済学」
竹中・中川ラインの懐刀である高橋氏の新著。同書の特徴は、財政投融資を中心とする公的金融システム改革について、金融資本市場の自由化(市場化)の動きと国民のガバナンスという観点からみれば、財政投融資改革、郵政民営化、政策金融機関の廃止・スリム化が遠からず必然の動きであった点が各種データを用いて論証されている点でしょう。
個人的には、第9章で纏められている「他の政策への影響」が興味深い。政府の金融活動を見直すのであれば、政府資産負債の管理を統一的に見直すことに話が進んでいくわけです。つまり財政再建に寄与することになります。勿論、財政再建を果たすための金融政策、インフレターゲティングや物価水準ターゲティングといったリフレ政策の必要性と(リフレ政策を行った場合の)名目金利上昇の貸借対照表への影響、さらに金利水準と成長率に関する論争についても言及されています。
小泉政権下で郵政民営化がなぜ行われたのか、公的金融システム改革が我が国の資金循環にどのような影響を及ぼすのかを考えるにあたって、広く薦められるべき本だと思います*1。
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 単行本
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*1:案の上、近所の本屋では瞬く間に売れてましたw