2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

齊藤旬・久武昌人『「イノベーション」に不可欠な制度 「パートナーシップ」のための会計・税制』を読む。

一橋ビジネスレビュー07年春号所収。我が国の法人税率は国税・地方税を合わせた実効税率で見ると、ほぼ40%である。海外に目を転じた場合、この値は米国よりはわずかに低いものの欧州諸国やアジア諸国と比較すると高い水準にあり、今般の税制改正においても…

宮澤喜一氏死去

宮澤喜一氏が本日お亡くなりになりました。しかしこのところ著名人の死去が相次いでいますね。 宮澤さんが総理・大蔵大臣(財務大臣)を務められた80年代後半から00年初頭の時期はバブル崩壊から失われた十数年に重なるわけです。この時期に宮澤さんが何を考…

デフレはどこまで続くのか?(その2)

その1では名目賃金と企業経営の動向が我が国国内の物価水準(デフレ)に影響していることをみた。名目賃金の動向を把握するには、労働需要と労働供給の両面からみていくことが必要だろう。さらに労働需要を考える場合には企業経営動向との関係についても留意…

石橋湛山

NHK「その時歴史が動いた」に次週(7月4日)登場する模様。題名が「冷戦の壁を破ろうとした男」との事ですが、経済的な視点とは少し違うんでしょうかね。とりあえず見ます。そして今週は真田昌幸ですが、こっちも要チェック。(http://www.nhk.or.jp/sonotok…

上半期経済書ベスト5

今年ももう6月終わりですねぇ〜。ということで、上半期経済書でよかったものを挙げておきます。 今年前半は失われた十数年についての考察本が相次いで刊行されましたが、林先生が中心となった一連の著作はベンチマークとして意味があると思います。僕も勉強…

齊藤誠「資産価格とマクロ経済」

オイラー方程式の理論的含意、実証から得られるインプリケーションを丹念に分析した書籍のようです。このあたりの分野を勉強するにはもってこいの本でしょうか。資産価格とマクロ経済作者: 齊藤誠出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2007/06/01メデ…

米国経常収支の動向(07Q1 Rerease)

お約束のEconbrowserです。要チェック。

デフレはどこまで続くのか? (その1)

我が国は長い景気回復局面に入っているが、依然として物価変化はマイナスであり、マイルドなデフレが持続している。このデフレはいつまで続くのだろうか?まずはGDPデフレータ変化の要因分解から、現在のデフレの原因を確認することにしよう。*1 図表は、暦…

東京河上会 公開シンポジウム 現代版「貧乏物語」を聴く

河上肇「貧乏物語」をモチーフにして開催されたシンポジウムに参加した。以下、少し備忘録的に印象深い論点を中心に纏めてみたいと思う。誤り等あればお知らせ下さい。1.河上肇「貧乏物語」について(田中先生) 河上肇は現在もその思想が生き残っている経済…

岡部光明「日本企業とM&A」

仕事目的で購入。個人的には企業ガバナンスの形態と金融システム、マクロ経済の相互関係について論じた第2部が面白そうですね。理論的分析と実証分析が程よくミックスされている印象です。これから頑張って読んでみよう。日本企業とM&A作者: 岡部光明出版社/…

MAKING THE MOST OF GLOBALISATION

東洋経済の厨銀総裁論説で血圧が上がる昨今です(笑)が、それはさておき。New Economistでグローバル経済のインパクトについてのOECD ECONOMIC OUTLOOKの論説が紹介されていますが、これはよく纏まっています。一読の価値あり。(http://www.oecd.org/datao…

安藤光代"Impacts of Japanese FTAs/EPAs:Post Evaluation from the Initial Data"

先日開催されたRIETIシンポジウムでの研究が元になっているDP。FTAs/EPAsの効果分析としては、CGEモデルに基づく事前評価が主ですが*1、我が国も幾つかの国とEPAを合意・発効しており、事後評価を行うことが可能になってきています。本DPは事後評価として、…

失職率と景気循環との関係

ロンドン在住の匿名エコノミストにより運営されている「New Economist」。話題も様々で興味深いエントリが多い*1。以下では「New Economist」で取り上げられている失職率(job loss rates)と景気循環の関係についての議論(Are Robert Shimer and Robert Ha…

論座7月号特集「「経済」が嫌いな人へ」を読む。

「経済」及びそれを解釈するツールとしての「経済学」に対する印象はあまり良いものとは言えない模様である。元々経済学に対して拒絶反応を抱いている方には読まれないかもしれないが、この特集は様々な観点から経済学の魅力や問題点を伝えており興味深い。 …

中国自動車部品メーカーの発展の秘密

若田部先生の論座今月号の論説*1からDani Rodrik's weblogの存在を知り、アンテナ登録した一人目は私です(笑)。 ということで、Dani Rodrik's weblog(http://rodrik.typepad.com/dani_rodriks_weblog)の話題から。 NTで中国の自動車部品メーカーが世界を…

蔵出し:「我が国の構造的・摩擦的失業率の水準はどの程度なのか?」

既に3ヶ月程たっていますし、構造的失業率等で検索されてこられる方も多いようなので、以前税経通信に寄稿した愚稿をアップしてみます。ご参考まで。我が国の構造的・摩擦的失業率の水準はどの程度なのか?1.はじめに 我が国の完全失業率は、1973年まで1%…

景気判断とチャート

深尾(光)先生のコラム(http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index.html)から。直近の景気判断を自力で行おうとすると、それぞれの分野についてデータを細かく見るという作業は欠かせないですね。そんな時に便利なのが各指標を一定の基準でグラフ化したチ…

伊藤修「日本の経済−歴史・現状・論点」

日本経済の歩みを時系列的に追うとともに、トピック毎に横串でみることで日本経済がどのように変遷してきたかを論じた本です。現下の論点を考えるにあたっても興味深いですね。復習がてらコツコツ読んでみようかなと思います。 しかしこのところ新書で分厚く…