上久保敏「下村治―「日本経済学」の実践者」 (評伝・日本の経済思想)

 私が身近に接した「凄いエコノミスト」の一人でもある上久保さんによる下村治伝。
 まだ手にとって居ないのですが、きっと興味深い本でしょう。特に下村が構想した高度成長論は現代の経済政策を考えるにあたっての手がかりになるのではないかと個人的に思っています。敢えて言えば私があこがれるエコノミストの立ち位置(アカデミズムの外に位置しながら日本経済を見つめ独自の理論を打ち立てた云々)って下村治*1なんだよなぁ・・・。
 「日本の経済学を築いた五十人―ノン・マルクス経済学者の足跡」は経済セミナーに連載されていたものを元にした日本の経済学者列伝ですが、合わせてお勧め。

 

下村治―「日本経済学」の実践者 (評伝・日本の経済思想)

下村治―「日本経済学」の実践者 (評伝・日本の経済思想)

 

日本の経済学を築いた五十人―ノン・マルクス経済学者の足跡

日本の経済学を築いた五十人―ノン・マルクス経済学者の足跡

(追記)
 こちらの「評伝・日本の経済思想」はシリーズ物ですね。これまで後藤文夫、赤松要、山田盛太郎と公刊されて、下村治となっている模様。確か本シリーズの池尾先生による赤松要伝は韓リフ先生の生存権がらみの話赤間先生がご紹介されていた筈。後藤文夫の評伝は著者の中村先生のblogに書評のご紹介がありました。山田盛太郎については小田中先生の遺跡でのエントリが参考になりますね。僕自身は全くの素人なので勉強になりますが、赤松要、後藤文夫の評伝は読んでみようかなぁ。

赤松要―わが体系を乗りこえてゆけ (評伝・日本の経済思想)

赤松要―わが体系を乗りこえてゆけ (評伝・日本の経済思想)

後藤文夫―人格の統制から国家社会の統制へ (評伝・日本の経済思想)

後藤文夫―人格の統制から国家社会の統制へ (評伝・日本の経済思想)

(追記:5/14)
本日アマゾンから到着。自伝や個人的所感を記した資料がほとんど無いという状況を踏まえて、影響を受けた書物や人について論じるのではなく、既に刊行されている沢木耕太郎『危機の宰相』、水木楊『思い邪なし』(文庫版は『エコノミスト三国志』と改題)の二冊と比較してより直接的に「下村理論」の全体像に迫ったもののようですね。この二冊は既読ですので、これらを踏まえつつ読書感想文を書いてみたいところ。

*1:でもそれは高橋亀吉石橋湛山にも共通しますね(汗