生産性の国際比較による産業競争力のベンチマーキング

 RIETI元橋氏の論考。日、米、中、韓、台におけるTFPの産業別国際比較プロジェクトの結果が記載されています。日本は中、韓、台と比較するとマクロのTFPでは依然として優位にあるが、各国との差は縮まっていること、エレクトロニクス分野においてはTFPのレベルで見た場合には差は縮まっているとはいえないこと、非製造業の生産性が他国と比較して低いこと、が記載されています。ある産業にくくられている企業の個々のパフォーマンスがどのようになっているのか、については米国でもファクトファインディングがなされているところですが、ここから企業レベルの生産性の話に進んでいくと又面白いなぁと思います。ただ個票がないと厳しいですね。

http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0206.html
http://www.rieti.go.jp/jp/database/d03.html(より詳細な結果についてはこちら)

(1/5追記)
 生産性の推計についてですが、ペーパーを見る限りだと稼働率調整がなされているかどうか不明ですが、多分考慮しているのではないかなと思います。
 TFPの推計はKLEMのデータに則って数量ベースであれば(OUTPUT変化)-WK×(資本変化)−WL×(労働変化)−WE×(エネルギー変化)−WM×(投入変化)、dualな構造を仮定しているので、価格ベースであれば逆に、WK×(資本価格変化)+WL×(労働価格変化)+WE×(エネルギー価格変化)+WM×(投入価格変化)−(OUTPUT価格変化)となります。
尚、WM,WK,WL,WEは別途推計されている時系列産業連関表の各産業の投入構造(名目シェア)で、離散型ディビジア集計で計測されています。当然ながらマクロの生産性とは異なるので付加価値要素以外の原材料投入が考慮されるわけです。
 bewaadさんの最初のコメントの点ですが、「日本経済は二重構造だ」という指摘については留保したいところです。ここからサービス業の生産性を上げるべしという議論に結びついていくわけですが、少なくとも比較に際しては比較優位との兼ね合いを考慮しつつ、考慮していく必要があるのでしょう。生産性格差の要因分析等については今後研究を進めていくとのことですのでその結果が待たれるところです。
 2点目の点は仰るとおり。3点目の点については、多分public serviceは国際比較にそぐわないとの観点から0投入としているのではないですかね?