08年第1四半期GDP速報値(一次速報値)の概観

 余力があればもう少し感想を書きたいところですが、08年第1四半期の実質GDP成長率は0.8%(年率3.3%)、名目GDP成長率は0.4%(年率1.5%)。調査機関の予測平均値と比較すると少し高めの数値です。消費の動きが底堅いところと民間住宅投資の寄与がやっとプラスに転換したことが影響していることが特徴でしょうか。又、07年第4四半期と比較して外需の寄与がわずかに拡大しているところも興味深いところです。
 後はGDPデフレータの伸びですが、原材料価格の高騰を受けてGDPデフレータのマイナス幅はわずかに拡大、国内需要デフレータ(外需要因を除いたもの)及び民間最終消費デフレータはプラスとなっています。08年第1四半期に入って民間最終消費デフレータがプラスの伸びになったのが特徴的な動きでしょう。
 

出所:http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe081/pointj.pdfより転載。

 概要ペーパーの最後の部分に07年度のGDPの姿が掲載されています。直近のQEの年率3%成長!という語感からは成長率が拡大しているという認識を持ちがちなのですが、年度ベースでは07年度の成長率は03年以降最低の水準(実質GDP成長率:1.5%、名目GDP成長率:0.6%)であり、修正の可能性はありますが、現状では政府が目標とする実質成長率2%のラインには届いていないということに着目すべきでしょう。この要因としては住宅投資の急減等による内需寄与の低下が大きいと思います。さらに物価では、GDPデフレータの伸びはマイナス幅が拡大、国内需要デフレータが03年度以降始めてプラスに転換し、民間最終消費デフレータのマイナス幅も縮小しているという点が特徴です。これは輸入デフレータの伸びが拡大していること(つまり原材料価格の上昇)に起因するところが大きく、内需の高まりを伴ったものではないでないことに注意すべきでしょう。


出所:http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe081/pointj.pdfより転載。