ご冗談でしょう与謝野さん

 昨日(6日)のダウ平均が四年ぶりの安値(1万ドル割れ)をつけた最中だが、我が国の株価も日経平均が1万円割れという様相を呈しているところである。さてこんな状況でも「日本経済は底堅く健全だ」と発言するのが与謝野経済財政担当相である。
 ロイターの報道*1から与謝野氏の発言をひこう。

欧米経済のこれからくるであろう不振やそれに伴う中国・東アジア経済(の減速)によって、外需が落ち込む。円高によっても外需が若干落ちる。いい材料はそろっていないが、日本経済自体は底堅く健全だ。

 いい材料はそろっていないが、日本経済自体は底堅く健全とはこれ如何に?いい材料はそろっていないならば日本経済は危ないと見るのが真っ当な考え方だろう。上の発言に続けて、与謝野氏は「日本の金融システムは諸外国に比べ「健全である」とし、「他の国に比べ落胆する要素はない」と述べた」とのことだが、それはあくまで現時点での話である。実際のところメガバンクが中小企業からの融資を引き上げるのではないかという懸念や現に世界同時株安が生じているという事実が、金融危機が深刻度合いを増す毎に我が国の金融システムにも襲いつつあることを暗示している。
 さて与謝野氏は円高進行について「世界各国の通貨のなかで相対的に安全で円買いが進んでいる」と指摘しているが、これは円買いというよりドル・ユーロ売りの産物とみるのが妥当だろう。何せ我が国は現在のところなんらまともな対策などしておらず、対外関係は受動的な状況が続いているのだから。

 実態経済を概観すれば、SNA二次速報では減速がより鮮明となった。鉱工業生産指数は8月に入り生産・在庫とも前月比・前年比でマイナスとなり、家計消費・百貨店売上高はマイナスが3月以降続き、日銀短観を見れば業況判断はマイナス、営業利益、設備投資はマイナス、機械受注(船舶・電力除く民需)もマイナス、失業率及び有効求人倍率の悪化は止まらず、輸出は再度落ち込み、輸入物価の上昇により通関ベースでは貿易赤字、企業倒産件数は着実に増加している・・と悪い材料を挙げだすときりがない。勿論大丈夫だと背中を押すのも大事だが、底堅く健全であるとはとても思えないのである。