政策金利0.3%に

 既に報道等がされておりますが、本日の政策決定会合で日銀は政策金利を0.2%下げ、0.3%とすることを決定。詳細は日銀HPにありますが、ご参考まで。4対4で議長採決というところが又なんともですが・・・。

http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/k081031.pdf
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810f.pdf
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/mok0810g.pdf

(追記:10/31 16:59)
 白川総裁会見に関する記事はアップされていませんが、経済・物価情勢の展望(10月)がアップされていますのでその点について簡単にメモ書きしてみます。
 まず、今回の利下げ決定に際して経済の将来見通しが下押しされている点。これは以下のリスク・バランス・チャートから鮮明に分かります。ご存知の方も多いところだと思いますが、これは政策委員の見通しを分布の形で記載したものです。今回の決定(図表中の青部分)により2008年度及び2009年度の実質GDP及び消費者物価指数は大きく下落しています。特に消費者物価指数は2009年度には0%近傍に戻るとの話ですが、米国をはじめとする世界経済の停滞と原材料価格上昇の効果が剥落することで生じるというわけです。つまりはCPIの上昇が鮮明となった2008年以前の世界に戻るというわけです。世界経済が停滞から回復するのが2009年度半ば以降となるというのが今回の「経済・物価情勢の展望」の見立てですが、個人的には世界経済全体の回復は2010年度以降になるのではないかというのが感想です。理由は先日エントリしたように米国住宅価格の底入れが2010年央ではないかという点、更に欧州の実態経済の悪化は深刻であり、中国・インドをはじめとする新興国の回復も(結局は米国・欧州頼みであることを考えると)、今回の「経済・物価情勢の展望」の見立てよりも遅れるのではないかという点が挙げられます。
 サブプライム危機が顕在化するまでの我が国の経済状況は力強い外需主導で緩やかな成長を遂げてきたというのは衆目の一致するところでしょう。外需に引っ張られる形で国内の投資・消費が成長しており強い内需というものは無かったわけです。率直に言うと、今回の経済対策、及び現在の日銀の金融政策で、弱い内需が自律的に回復するということは無いと思いますので、「経済・物価情勢の展望」の見立ては少々楽観的かもしれません。
 勿論、以上の見通しが良い意味で外れることを祈りますが、これまでの日銀の金融政策を支えているフォワードルッキングな先行きの見通しが常に楽観的であったこと、そして多くの政策委員が現在においても尚、利下げ提案に反対していたという事実を考えると、「経済・物価情勢の展望」の蓋然性が高いとは思いづらいというのも正直な気持ちです。