円高は何をもたらしているのか?

 岡田さんのインサイトコラムの更新頻度が上がっているように感じる今日この頃ですが、マクロ的に見て喜ばしいことです(笑)インサイトコラム(円高イコール交易条件改善は事実ではない、輸出産業の受けた被害)を読んで雑感を。
 今月号の文藝春秋で東大の藤本先生が「比較優位の原理」についてこのコラムで挙げられているものと同様の誤解をされていましたが、「比較優位の原理」は一国内での比較に基づくものですよね。藤本先生の論説は中々面白い話が書いてあったのですが、一国の競争力がどうとかいう話はちょっとなぁ・・などと感じました。
 岡田さんのコラムにもあるように、今般進んでいる円高がマクロ的に見て問題であるのは輸出産業が壊滅的な打撃をうけることで日本の最も優れた生産性を有する産業が大きな打撃を受け、それにより日本全体の生産性(生活水準)が低下するからです。
 岡田さんのコラムで指摘されているように円高メリットとしての交易条件の回復は0.4%しかないわけです。マクロベースで見た場合の40%の円高、30%の生産の低下と0.4%の交易条件の回復を比較すれば、今回の円高局面では「円高は日本の利益」などといえないのは明白でしょう。