マニフェストから思う

小泉氏が放つ刺客もかなり出そろってきた模様です。新規立候補者の公募をしたところ700人以上の応募があったとのことですが、やはり政治に対して関心が高まってきているということの証左なのでしょうか。

知り合いの方も数名立候補されるのでその方々には何とか頑張って頂きたい所です。


8月16日に民主党マニフェストを公表しました。元来マニフェストをいくら発表したところで政策として結実しない限りは全く意味がない訳ですが、内容を見ていくと各党がどのような政策を考えているのかわかり有益ですね。容易に民主党HPからダウンロード出来ますので、自分も見てみました。



以下その中で経済政策について気になる点を列挙してみたいと思います。



7.財政健全化

  • 3年間で10兆円の歳出カット、国債発行額30兆円未満、プライマリバランス赤字の半減を実現する。

財政健全化8年計画の一環としてまず最初の3年間は歳出の見直しをするとのことですが、段階論ではなく

歳入の見直しも同様に行っていく必要があると思います。元来財政を健全化させるのが目的ですので、現状の財政赤字を考慮すると段階論云々を言っている余力はないように思います。恐らく現下の経済状況を

配慮しての事なのでしょうが、増税以外にも税の捕捉率の向上といった施策は考えられるため、実体を明確にしつつ主張すべきではないかと考えます。

歳出見直しですが、17兆円(内7兆はマニフェスト関連での支出)の削減の計画を見た所、特会のゼロベース見直しによる効果が17兆円の半分程度を占めるものと考えられます。実効可能性を考慮しつつもう少し

具体的な記述がないと納得できないですね。具体的に挙げられているものでも、目標額は記載されていますが具体的な方策を明記しないと「本当に実現するのか?」といった疑問はぬぐえません。



8.郵政改革

  • 郵貯簡保の規模の徹底的な縮小により公的部門に流れている資金を民間に取り戻す。

先日郵政民営化の是非においても書きましたが、公的部門の無駄を取り除くという目的は間違えていないと思います。ただ、郵貯簡保の預金額の縮小は現状その経営を郵貯簡保の資金に依存している郵政公社

に大きなダメージを与えかねません。竹中氏の「○割の失業者が出る」という議論はかなり荒っぽいものだと思いますが、痛みを要求するのであれば、痛みがどの程度と想定するのか、その痛みを国全体としてどのように吸収するのかを具体的に記載しなければ説得力はない筈です。



9.経済・規制改革・中小企業

  • マクロ経済の健全化と資源配分の転換

民主党が唱える「コンクリートからヒトへ」の資源配分の移転は資源がない我が国にとっては重要な施策ですし、この点は評価したいと思います。ただ、財政・金融政策の健全化のくだりで、「金融政策はゼロ金利量的緩和という異常な政策を出来る限り早く終結させ、正常な状態に戻します」とある点には違和感があります。現状我が国の景気は(政府の公式発表では)踊り場から脱却し、成長の端緒についた段階です。まだ消費者物価はマイルドなデフレ状態であり、まずはインフレの基調が続いていることを確認した上で段階的にゼロ金利を解除すべきでしょう。前回のゼロ金利解除のような失敗は避けるべきです。財政支出の削減をうたうのならば、金融政策は現行の政策を維持すべきだと考えます。



その他にも思うところはありますが、今日はこのくらいで。