清水真人「経済財政戦記 官邸主導小泉から安倍へ」

 非常に遅ればせな感があるのですが、西野智彦軽部謙介両氏の「検証もの」を頭に入れた上で読みたいと思っていたので、今現在読んでます。成長・金利論争は高橋洋一「財投改革の経済学」とあわせて読むと面白い。しかし情報量多いですねぇ。一気に詰め込んだ感じです。
 現在も社会保障負担に関する内閣府試算や、それに関連して歳出歳入一体改革の話が進められている訳ですが、歳出削減に重点が置かれた小泉・安倍時代と比較すると、歳入確保に軸足がどんどん移されている昨今の流れがどうして成立しているのか、その源流は?という点も本書を読むと良く分かりますね。
 冒頭部分及び第一章を読んだ限りでは与謝野氏が「財政改善には経済の安定的成長が不可欠」と認識していた、と記載されている箇所が興味深いですね。彼にとっての経済の安定的成長策は「構造改革」と呼ばれる政策群であり、具体的には生産性をいかに上げていくかという難問なわけですが。生産性上げる云々は昨日の経済財政諮問会議でも議論されてますね。
 与謝野氏にとってみれば03年以降の景気回復期は97年の橋本政権下のデフレ突入→経済停滞と比較すれば「経済状態は良い」訳なので歳入の確保に手を入れねばという気持ちなのかなと思います。その認識の下にあるのは「経済停滞の原因は金融システムの破綻だ」という理解でしょう。
 時間を見て「失われた十数年」以降の政策状況を論じた本の読書感想文を(頭の整理・理解確認もかねて)エントリしていきたいところです。

 ※余談ながらお会いしたことがある官僚の方の名前があると、「こんなに偉かったんだ(汗)」なんてミーハーな気分にもなりますww

経済財政戦記―官邸主導小泉から安倍へ

経済財政戦記―官邸主導小泉から安倍へ