現状維持→緩和的?

 早いものですが、本日の日銀政策決定会合で日銀は金利据え置きを決定したとのことです。昨今の株安・円高をはじめとする国内情勢・さらに米国経済の不安定な動向を考慮すれば(福井総裁の思いは兎も角として)利上げは困難な状況でしょう。
 所で、日銀が金利を据え置いたことについて報道では「引き続き緩和的な政策を維持する」といった記述がなされている訳ですが、昨今のGDP成長率に占める外需の寄与が高まっていること、米国がFFレートを9,10月と下げた事が円高をもたらしている可能性を考慮すれば、相対的に引き締めという言い方もあるのかと思います。
 勿論、絶対水準で現状緩和的であるという見方にも私は疑問を持っています。理由の一つは三菱UFJ証券の嶋中さんが書かれていますが、この所のDI等に見られる景況の悪化、特に中小企業の景況判断の悪化です。

http://www.sc.mufg.jp/inv_info/business_cycle/sn_report/pdf/snb20071112.pdf

 金融政策の恩恵は特定の業種・規模に偏った形で影響するわけではないと思いますが、直接金融が主体となってきている大企業よりは間接金融への依存度が高い中小企業への影響が大だと思います。嶋中論説では利下げを提案していますが、私も以上の対外要因及び国内要因を考慮すると現状寧ろ利下げを行った方が今般の景気拡大を息の長いものにするのではと推察するところです。