米国緊急利下げと我が国の状況

 昨日夜、米国が緊急利下げに踏み切ったのは既にご案内のとおりです。0.75%という下げ幅とタイミングは予想外ですね。良い意味で市場の期待を裏切ったといえるのではないでしょうか。各種指標の軟調化が見られると判断するや対応策を講じる辺りは適切な処置だと思います。まだ利下げ余地は残っているところですし、今後も利下げはありえるのでしょう。
 一方、我が国の状況を鑑みると、米国及び欧州が緩和基調で歩調を合わせるという状況の下で、フォワードルッキングな経済見通しが下方修正が繰り返されているにもかかわらず「現状維持」というのはなぜなのか、という疑問は付きまといます。福井総裁の下では利下げという選択肢はないと思いますが、利下げをするのであれば、インフレターゲティングを明確に宣言し、ゼロ金利に戻した上で安定した物価上昇(CPIコアで1%以上が持続する状況)が観察されない限り利上げを行わない事、そのためにあらゆる手段を講じる*1、という条件で行うことが必要だと思います。 

*1:一例としてあげれば長期国債買い切りオペ、円安誘導、減税策といったところでしょうか。減税に伴う歳入減が気になるなら、歳入減に対応した国債発行分を日銀が買い取っても良いでしょう。