上野泰也「チーズの値段から未来が見える」

 マーケットエコノミストであり、BOJウォッチャーとしても名高い、そして我が国において極々少数な(!?)正論を述べるエコノミストでもある上野さんの著作。韓リフ先生も取り上げていらっしゃいましたが、読み易い一方でポイントがしっかり書かれているのでお勧め。エコノミストとしては驚異的な毎日欠かさぬ朝昼晩のマーケットレポートの作成・原稿執筆に加えてこんなこともされていたんですね。生産性高いなぁ〜と関心。
 経済分析には王道なし。情報収集をし、真っ当な視点からフィルタリングをしてシナリオを立てる。そしてシナリオが誤りであれば修正し再度シナリオを立てる。その繰り返し。
 これは私流に言えば、「計量経済学」におけるモデル分析のステップそのものです。私はこれをモデル的思考法と勝手に名づけているわけですがw。自分もこんな感じでデータを見、ヒアリングをしたり色んな人の書いたものを読んだり・少しだけブログにそのことをアップしたり、実証分析をしたりしてシナリオを立てつつ、日々それを補強するような感じで経済のことを考えているので結構驚きました(汗。

チーズの値段から未来が見える

チーズの値段から未来が見える

(4/2:追記)
 この本のポイントを一つ挙げろといわれれば、自分の場合は4章「エコノミストが教える「予測」の技術」を嫁!ということだと思います。(僕はマーケットエコノミストではありませんが)経済に関連する調査を担当している自分視点で言えば、シナリオの骨格や整合性を判断する際のチェックとして僕の場合はマクロモデル(及び脳内マクロモデル)を適用しつつ整合性を練っていき、各種の変数の反応の強弱はモデルで推計した値を基準にするといった感じでしょうか。
 エコノミストでない方にとってもこの本で展開されている方法論・考え方は「いい加減なエコノミスト」の言説をチェックするものさしになるのではないでしょうか。そんな風に思います。