理不尽な発言

以前話題にしたが、結局予想通りになるのだろうか。
白川副総裁を昇格させるという自民党の非公式な打診に対して、民主党の鳩山氏は以下のようなコメントをしたということだ(http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-31161920080404)。

民主党鳩山由紀夫幹事長は4日の記者会見で、次期日銀総裁白川方明副総裁の昇格案が取りざたされていることについて、個人的見解としながら「民主党として『白川副総裁』に同意した。『総裁』に同意しない理屈は難しい」とした。

 鳩山氏の高尚な頭脳の判断には私如きはとても及ばないが、鳩山氏が言う「総裁」に同意しない理屈は容易に得ることが出来る。そして私は寧ろそのほうが正当なものだとすら思うのである。

 理由は簡単である。事実確認からしていくと、民主党自民党からの「副総裁白川氏」という提案に対して合意したわけだ。民主党は、当然ながら「総裁白川氏」に対して合意したわけではない。つまり、「総裁を補佐し与えられた業務をこなし、総裁不在の折には代行として責務を果たす」副総裁として、白川氏が適任であるとの決断をしたわけである。理屈の次元の話だが、民主党は副総裁とは異なる資質を有する必要がある「総裁」という地位に白川氏が適任という判断を下したことは一度とてない。

 このように考えると、「総裁」に同意しない理屈は難しいなどと鳩山氏が言うことは出来ないはずだ。鳩山氏は何を考えているのだろうか。民主党日銀総裁・副総裁人事に対して相応の検討をして決定を下したはずである。そうでなければ、日銀総裁不在といった現実に対して責任が持てないことは言うまでもない。
 「白川氏が総裁ではなく副総裁として適当」との判断を自ら下しているにも関わらず、「白川氏が「総裁」に昇格することを同意しない理屈は難しい」という鳩山氏の発言は人を馬鹿にしている。ならば最初から「副総裁 白川氏」の打診があった時点で、「副総裁ではなく総裁が適任だから同意しない」と責任ある対応をするべきだったのだ。

 鳩山氏のコメントを読むと、民主党は兎に角日銀出身者が日銀執行部の一員になる芽を残しておきたいから、副総裁でも何でも良いから白川氏を残そうとしたのだなとも邪推してしまう。そして同時に、日銀の総裁や副総裁といった重要な人事についてやはり大して考えていないのだなと思わざるを得ない。性懲りもなく無し崩し的な提案をした自民党も酷いが、このようなコメントがまかり通ってしまう事実にも慨嘆せざるを得ない。