年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)

 既に報道でご案内のところかと思いますが、試算結果資料をざっと読んで思ったことを列挙します。



・現状を踏まえたシミュレーションを包括的に行っており、この手の試算としては良心的。しかし(追記)を認識しているという前提。

・試算としては経済環境(成長率、金利等)を与えた上で年金制度の収支を見る形で、フィードバック効果は考慮されていないもの(財務省が行っている試算と同様のタイプ)と推察。

・不足分を追加財源として消費税率換算している点は分かり易いものの、一方で「消費税を増税しなくてはもたない」という認識を持たせる結果となる。

・消費税を財源とすることについての論点は既に論じたとおりだが、この試算は消費税増税やむなしではなく、寧ろ歳入と歳出として現在計上されている費目をどのように見直す べきか、その中で減税・増税をどのように行っていくべきかという点を議論する素材として考えるべきではないか。

・現行の歳出として年金以外に支出している部分を削減して国庫負担に充当していくという発想も検討の対象とすべき。

(追記)
 今回の試算で重要な点を書くのを忘れていましたが、修正案(基礎年金の満額の引き上げ、最低保障年金創設)は給付額の増加をもたらします。同様に税方式化案の前提条件を読むと、現行よりも給付額を増加させるという形になっています。給付額の増加が前提であれば、当然ながら追加的負担は増加するでしょう。この点に留意すべきです。