嶋中雄二「景気後退後を探る日米経済」

 毎月三菱UFJ証券のHPで「嶋中雄二の月例景気報告」として掲載されているもののの最新号。題名(景気後退後を探る日米経済)をご覧の方の中では少し違和感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、統計指標を見ると悪化のシグナルを出しているものが増えてきている昨今、景気の転換点のタイミングはいつかという点に関しては嶋中さんの分析を読まないわけにはいかないわけです。以下ポイントを箇条書きしてみます。詳細は本文(http://www.sc.mufg.jp/inv_info/business_cycle/sn_report/pdf/snm20080520.pdf)をご覧ください。

(既に米国経済は景気後退入り)
・NBERは景気転換点の判断として、実質個人所得、実質企業売上高、非農業部門雇用者数、鉱工業生産指数の4つがピークをつけた時点が景気後退の開始時点としている。
・これらの4つの指標の動向を探ると、実質個人所得以外の三つの指標は既にピークアウトしており、この4指標を合成した一致指数のピークは07年10月となっている。
・07年10月を仮に景気後退の開始期とすると08年5月現在で既に8ヶ月間の景気後退期となっている。
・戦後米国の平均景気後退期間は10.4ヶ月であり、「戦後最悪の金融危機」と評されていることや消費者マインドが弱いことを加味すると、08年7-9月期までは景気後退局面が続くだろう。

(全部門に波及した、日本の景気後退圧力)
・景気転換点を見出すために作成されているHDI・一致指数をみると、今回の日本の景気の山は07年11月(11系列中6系列で「後退」した)。
・08年3月のHDI・一致指数採用系列11系列の値はすべて「後退」となり、景気後退がすべての部門に波及したといえる。

(日米経済の今後)
・日米両国は景気後退の過程に現在あると思われるが、先に見たように米国が08年7-9月期に底入れするのならば、日本は若干遅れる形で底入れを果たすだろう。日米は景気後退後の姿を探っているのだ。