松元崇「大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清」、高橋是清「高橋是清自伝」、三輪芳朗「計画的戦争準備・軍需動員・経済統制 − 続「政府の能力」 」、安達誠司「脱デフレの歴史分析」

 高橋是清についての評伝ということで言えば、高橋本人による自伝(高橋是清自伝)は面白く読めるところでありますが、松元さんの書籍は財務省の広報誌「ファイナンス」で連載されていた論説を高橋の生涯をたどる形で再構成したものとのことです。本書の「おわりに」にあるとおり、この本は高橋の足跡を辿ったものではなく、明治憲法下の財政・金融の歴史を高橋是清を軸に語ったものというものでしょう。以前取り上げたように、丁度「坂の上の雲」を再読していまして佳境(第7巻あたり)に入っていますので、個人的には日露戦争時の外債(戦費)調達や、明治憲法下の政府の財政の状況といった話題は面白く読んでいます。

大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清

大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清

高橋是清自伝 (上巻) (中公文庫)

高橋是清自伝 (上巻) (中公文庫)

高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫)

高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫)

 本書の第15章以降の歴史的事象についての経済分析といえば、以下の三輪先生の著作はチェックしたいところ。まだ買ってないなぁ。金解禁論争、松方デフレといった話題も含めて、明治維新から第二次大戦までの日本の軌跡を「政策レジーム」を軸として論じた本といえば、安達さんの「脱デフレの歴史分析」も必読。

計画的戦争準備・軍需動員・経済統制 − 続「政府の能力」

計画的戦争準備・軍需動員・経済統制 − 続「政府の能力」

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本