小池和男「日本産業社会の「神話」」

 国際比較は難しい。難しいのは比較をする我が国ではなく、相手側の海外の状況が十分に明らかでないことに原因があるわけです。だからこそ国際比較は難しい。小池先生の新著は、少数の素晴らしい国際比較の研究を通じて、個人間競争、会社好きの日本人、年功賃金、長時間労働による競争力の確保、企業別組合、政府の役割といった論点を論じたものです。この本から浮かび上がるインプリケーションについては追々又別記したいと思いますが、手軽に情報を得ることが可能になったからこそ、比較の際の資料の質が同質であること(一方はアンケート調査なのに他方は文献調査とかでは駄目)、その資料の中身の吟味が欠かせないと思う昨今です。

日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす

日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす