小泉政権から4年が経過して

私がジャンルを設定している「政治・経済」の今週のトラバテーマは、「小泉政権発足から4年」。



まずはトラバに設定されている詳細をコピーしてみます。



小泉政権が4月26日で政権発足4年目を迎えました。支持率80%超えるかつての圧倒的な人気はなくなったものの、現在でも40%前後の高い支持率を得ています。それはひとえに無駄な公共事業の削減や赤字予算の抑制、不良債権の処理や郵政民営化などの数々の改革を一貫して断行し続けようとする不断の姿勢によるでしょう。ただ、官僚主導ではなく政治化主導の政治運営を目指す「骨太の方針」の不徹底、地方分権の徹底を謳いつつ中身は単なる財政改革でしかない「三位一体改革」など中途半端で不完全なやり方、イラク自衛隊派遣に際しての国民への説明不足、靖国参詣の敢行と中国韓国関係の行き詰まり、など問題点数多。

さて、あなたは小泉政権をこれからも支持しますか、しませんか? それはどうしてですか? トラックバック小泉政権への辛口批評を展開しましょう。−



こんな感じです。



感想として、小泉政権がもう4年も続いていた事に素直に驚きます。福田和也氏の「総理の値打ち」(文藝春秋)ではないですが、小泉第一次内閣の時点(平成13年4月26日〜平成15年11月19日)で在職日数が938日であり、既に平成にはいってからの総理大臣の中で在職日数はトップです。



平成にはいってからの総理だと、宇野氏はスキャンダル、海部氏はクリーンな水玉衣装、宮澤氏は英字新聞、細川氏はお殿様、羽田氏は半袖のスーツ、村山氏はお詫び外交、橋本氏は時期外れの財政構造改革、小渕氏はブッチホンと拡張財政、森氏は神の国の人・・・となんだか思い浮かべるのもはばかられるような状況ですね。酷く書いてしまいましたが、多分、大方のイメージはこのような感じなのではないかと思います。



小泉総理が過去の平成総理大臣の中では最大の在任期間を誇っている訳ですが、これまでどのような事が成果としてあるのでしょうか。



経済財政諮問会議のHPにある「目で見る小泉改革の4年間 」という資料にて、私の感想を述べてみます。

よって、海外との関係という点については基本的に考慮外とします。また改革の是非については問わずに何をやり遂げたのか、その効果はあったのかどうかについて感想を述べてみたいと思います。



改革の成果として挙げられているものは大きく8つあります。

1.三位一体の改革

2.構造改革特区

3.地域再生

4.都市再生

5.観光立国

6.起業

7.産業再生

8.530万人雇用創出プログラム



1.の三位一体の改革は税源移譲について大枠が決定されているものの、実行は17・18年度であり具体的な変化はなし。国と地方のあり方や行財政システムが変わったという状況には官庁や地方公共団体に多少なりとも関係している自分には分かり得る状況にはありません。これからといった所でしょうか。



2.構造改革特区ですが、549件の特区を実現させたのは一つの成果だと思います。ただ、特区が全国区になることで小泉内閣が推し進める構造改革が実現する訳ですから、これからなのではと思います。



3.地域再生、4.都市再生ですが、国家として1.の点や、人口移動を考慮しつつ国と地域のあり方に併せた再生計画を考えることは重要な事だと思います。ただ地域では過疎化の問題が進行しており、人が立地しないことには再生もあり得ないと思われます。プロジェクトを設定した後、果たしてどのような効果がでるのか・・これからなのではと思います。



5.観光立国ですが、訪日旅行者が600万人を越えたという事です。数字で見れば効果があるようにもとれます。これは日本の古来の文化やアニメ・ゲームといった独自な文化への憧れ、韓国・中国といったアジア地域、特に中国からの観光客が多いこと、査証に伴う手続き緩和の影響もあると思います。が何より中国の経済成長に伴う所得増加が我が国への旅行者数を増やした大きな要因ではないかと思います。



6.起業、7.産業再生ですが、起業の動きが広がるのは経済・社会のダイナミズムを高めるという意味で望ましいと考えられます。企業の再生支援を行うために産業再生機構を設立した点は、倒産に伴う失業を抑えるという意味では効果があったものと思われます。



8.530万人雇用創出プログラムですが、530万人は就業者数の10%弱とかなりの規模です。12年から15年2月までで延べ300万人の雇用を実現したという事ですが、もしこの数字が雇用創出プログラムのみの影響であるとするならば効果はあったのだと思います。ただ、きちんとした経済政策により景気がより好転すればもっと効果はあるのではないかと思うのですが・・。



以上、行ったとされる8つの改革ですが、最初の4つはまだ道半ば、1つは他の要因が大きく、最後の3つは効果があったと思われるものの、より本質的に進めていく課題があったのでは、と思います。



先の「目で見る小泉改革の4年間 」で挙げている「改革の芽が育っています」の箇所が重要であり、ここを重点的に進めて行かない限り、成果は上がったとはいえないのではないでしょうか。




私は経済財政諮問会議を設置し、政治主導の形で総理が中心となり一つの組織の中で大枠の政策を決めていくというやり方は、中で検討されている政策は度外視して透明性の高いものとして評価しています。



ただこの中で核となっている「改革と展望」は経済状況に応じて毎年改訂されていますが、改訂の度に小泉政権の一つのウリである、財政改革、税制改革、規制改革のタイミングが先送りされるのは、「改革と展望」自体の信頼性を損ないかねません。



もうこれ以上先送りが出来ないという認識の元で、「改革の芽が育っています」と言わずにしてもらいたいものです。



以上の感じですので、小泉首相は在任期間が長い首相の割には成果が少ないと感じています。恐らくあと5年もすれば「郵政民営化」しか言わなかった総理と記憶されるのかもしれません。



次は「改革と展望」そのものを題材に、経済的な見通しの実現可能性について感想を書いてみたいと思います。