IMF WEO (2009年10月)から

 本日公表されたWorld Economic Outlookの最新版。ざっとChapter1及び2.を確認した感想は以下の通り。個人的にはChapter3は読みたいところ。

  • 世界経済全体は回復が鮮明となり、2009年はマイナス1.1%だが、2010年は3.1%成長。
  • 7月時点の予測と比較して、それぞれ0.3%ポイント、0.6%ポイントの改善。
  • ただその内訳を見ていくと、先進国はマイナス3.4%、1.3%という成長見通しで景気回復は弱い。
  • 日本の場合は、マイナス5.4%、1.7%という感じで、2009年の悪化度合いは、先進国の下から数えて3番目(アイスランドフィンランドに次ぐ深刻さ)、かつCPIのデフレが二年続き、これはアイルランドと同じ。失業率は2010年には6%台に。
  • 新興国の場合は、2009年1.7%成長、2010年5.1%成長。2009年の成長率の落ち込みは金融危機の影響を受けているロシア・東欧の悪化によるもので、中国・インドが堅調な成長を遂げていることは2010年も変わらず。
  • 中国・インドの力強い成長に依存して今後世界経済が成長を遂げるということが底流にある感じ。
  • WEOの結果からは、我が国の状況は改善しているものの、基本的な状況は変化なし。つまり、10年に世界経済が回復したとしても、その成長は02年〜07年10月の「実感のない景気回復」以上にはならない。年率10%以上のマイナス成長が生じた次の年ですので(汗、水準で見れば1.7%成長しても景気回復期の水準を回復するには道遠しですけど。
  • 具体的にはマイルドなデフレ(バイアス分を考慮すれば1%台)、失業率の高止まりの中で、2%弱の実質成長を果たすというもの。成長率は民主党の動向を見る限りではもっと低くなる可能性があると思量。
  • この状況だと2010年に景気回復となったとしても、財政・社会保障や雇用環境の改善は見込めず。「実感のない景気回復」から抜け出せない状態が続くと考えられる。それは縮小均衡への道か。

http://imf.org/external/pubs/ft/weo/2009/02/index.htm