計量経済学に関連するお勧め書籍等々(その1)
さて、学生さんは夏休みですねぇ。大学の時、2ヶ月くらい続く夏休みをどう過ごそうか楽しみにしていましたが、涼しい図書館で読書などしてみるのも乙なんでしょうか。苺スレなどで計量経済学の本について話題が出てたので、勉強していた当時分かりやすかったと感じた書籍等をピックアップ。
計量経済学を勉強するにあたっては統計学の知識が不可欠ですが、その点については岩田暁一先生の「経済分析のための統計的手法」、東洋経済を紙がすり切れる程嫁!という形で片づけさせて頂きます。ある意味こちらの本は計量経済で扱う分野と被る箇所がありますが。
- 作者: 岩田暁一
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1983/04/01
- メディア: 単行本
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1.計量経済学(初学者編)
僕が学生の時から親しまれていた計量経済学の初学者向けの本と言えば、箕谷先生の「計量経済学」。こちらでしょう。回帰分析から始まって誤差項に関するI.I.Dの仮定が従わない際の分析の手法(自己相関、多重共線性)、検定の手法、さらに同時方程式へと繋がっていきます。初学者向けの例があったりして便利です。
- 作者: 蓑谷千凰彦
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1997/04
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上記と合わせて時系列分析(単位根・共和分)についてフォローするのならば以下の多賀出版のものがお勧めでしょうか。こちらの数量経済分析シリーズは実証分析を行うにあたっての事例や方法を詳しく説明しているので良いですね。
- 作者: 蓑谷千凰彦
- 出版社/メーカー: 多賀出版
- 発売日: 2003/07
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また、多重共線性の図解や、「統御された実験」が不可能な際にいかにして推計を行っていくかといった含蓄ある解説については、小尾先生のこちらの本を嫁!(古い本ですが、確か再販されている筈。)
計量経済学入門―実証分析の基礎 (叢書・現代経済学入門 10)
- 作者: 小尾恵一郎
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 1972/01
- メディア: 単行本
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2.産業連関分析
大学等では実はほとんど顧みられない(?)産業連関分析ですが、シンクタンクではよく使ったりします。そんな訳で仕事しながら網羅的に産業連関表の仕組みや分析の方法について学べるのはこちらの本でしょうか。我が国の産業連関表における93SNAとの対応といった話については、統計の解説編を見るとして、表の種類、分析手法等については非常に良く纏まっていると思います。
- 作者: 宮沢健一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2002/06
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あとは、実際の表をダウンロードして実際に波及効果を分析してみる必要がありますが、産業連関表は各種統計機関のサイトをご覧頂くとして、ダウンロードした表の部門縮約(例えば32部門表を28部門といった形で自分で組み替えたい)を行う場合には、マクロを自作するのも良いんですが山田光男先生のサイト*1にあるEXCELマクロを使うのも便利です。ちなみにエクセルなら50部門くらいまでは行列計算を適用することで波及効果を出すことが可能です。
それから、所謂Matrix Balancingに関してはRAS法やKEO-RAS法を使う必要がありますが、その場合のエクセルマクロはこちら*2なども参考になると思います。最適化の結果得られる式を使っているプログラムに記述し、データを入れて計算させても問題ないですね。
3.マクロ経済モデル分析
マクロ経済に関して同時方程式体系を作成し、モデル推計&シミュレーションを行うという場合に有益な情報が手堅く纏まっている本としては、伴先生の以下の書籍など有用かなと思います。あとは貞広先生の書籍とかも面白かったかな。
- 作者: 伴金美
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1991/04
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- 作者: 貞広彰
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1992/02
- メディア: 単行本
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さらに、マクロモデルについては、伴先生のHP*3にある計量モデル分析とソフトウェアのリンクがお勧め。リンクの中では特にYale大学のRay C. Fair教授のサイトが充実してます。Eviewsがあればモデルをダウンロードすることでなんとなくマクロモデルを動かした気持ちになれます。Eviewsの場合、対話型およびプログラムを書いてモデルを動かすことができますが、対話型だと大規模モデルでは面倒だったりします。プログラムを書いてマクロモデル分析を行う場合には、三井情報開発の萱園理氏のサイトなど実践的で役に立ちます*4。
○計量分析の為のソフトウェア(1)
?TSP
TSPやEviewsといったソフトウェアをお持ちの方は、実際にプログラムを入手して見よう見まねで動かしてみるのが良いと思います。
TSPについては公式サイト*5から大量のtspプログラムをダウンロード出来るので、様々なモデル分析の事例を見ながら自分なりにプログラムを組んだりできるのかなと思います。
和書ですと定番ですが伴先生と和合先生の書籍とか、縄田先生の書籍などが参考になりますね。
- 作者: 和合肇,伴金美
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 縄田和満
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2006/03/01
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パソコンによる数量分析―ExcelとTSP入門 (数量経済分析シリーズ)
- 作者: 蓑谷千凰彦,斎藤崇,野村俊朗,大津泰介
- 出版社/メーカー: 多賀出版
- 発売日: 2003/05
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?Eviews
Eviewsに関しては、僕は和書では以下の書籍を持っているのですが、少しわかりにくい部分もありますね。和書だと中々良い本がないなぁ・・というのが実感です。洋文献なら、まずEviewsのマニュアルがオススメ。
EViewsによる計量経済分析―実践的活用法と日本経済の実証分析
- 作者: 松浦克己,コリンマッケンジー,Colin McKenzie
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2001/04
- メディア: 単行本
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?STATA
パネル分析を行ったりする場合ですと、データの並び替えや大量のデータ処理が出来るという意味でSTATAが便利ですが、STATAコードが記載されているパネル分析の本と言えば、北村先生の書籍は難しいもののお勧め。
あとはRIETI松浦氏らのSTATAによる経済分析の解説はオススメ。かゆい所に手が届く感じで実践的なのが良いですね。