読書感想文

「萌え」を経済的に解釈するとどうなるのか−森永卓郎『萌え経済学』を読む。

昨今話題になっている『萌え』産業については、今年になってシンクタンクのレポート・書籍が発行され、現象面として経済への影響がいかなるものかという観点に立っての分析がなされている。本書は、『萌え市場』なる言葉を生み出した森永氏の著作であり、「…

「勝ち組」と「負け組」を考える−橋本治『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』を読む

橋本治氏の新刊『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』(集英社新書)。パラパラと本屋で中身を見ていたのだが、考え込んでしまった。それは本書で取り上げられている「勝ち組」と「負け組」という存在の成立に関する言説、およびそこに携わる彼が「エコ…

田中秀臣『最後の「冬ソナ」論』を読む。

『冬のソナタ』のブームに代表される「韓流」という言葉の成立と、その後各テレビ局から放映されている大量のドラマ、韓国俳優の来日に群がるオバサマ達の群れ、といった状況を当初私は「なんだか又訳の分からないブームがやってきたなぁ・・」と傍観してい…

城山三郎『花失せては面白からず』を読む。

有名な本なので、一々感想を書くのは気が引けるのだが、やはり読んだ本の感想を書きたい(!)ということで書く。本書は、著者の城山三郎氏が東京商大(現一橋大)の学生であった頃の師である山田雄三教授との出会い、そしてその後の交流を描いた著作であり…

バグワッティ『自由貿易への道』を読む。

本書は現在の国際貿易論における分野の大御所の一人でもあるバグワッティ教授の年来の主張である自由貿易の有効性について、ストックホルム大学で1997年に行った講義を取り纏めたものである。 バグワッティ教授は1934年にボンベイにて生まれ、ケンブリッジ大…

マンガ『嫌韓流』を読む。

マンガ『嫌韓流』。 やや韓流ブームは沈静化したような観がある昨今、その衝撃的なタイトルの故なのか主要出版社から発行が許可されず、さらに新聞の広告欄にも登場しないにもかかわらず30万部を突破するという勢いの本である。近所の小さな本屋に(なぜか…

金森久雄『エコノミストの腕前』を読む。

インターネット等で欲しい本は簡単に手に入る昨今では、中々本屋に足を運ぶことは少ない。 仕事で考えに行き詰まった時、かつ少し時間がある時に本屋に資料集めに行くといって出かけて、結果全く関係のない本を買い込んでしまうというのがこの所の自分にとっ…

浜田宏一・堀内昭義編『論争 日本の経済危機』を読む。

「失われた10年」に関する論考は様々な論者が様々な観点から議論しており、まさに百花繚乱の様相を呈している。このような状況から、様々な議論を整理した経済議論整理本ともいうべき書物も刊行されている。 経済議論整理本は、てっとり早く問題点を知りたい…

佐伯啓思「現代日本のリベラリズム」から

グタグダ日々の雑事を行っているうちに、このブログの更新が追いつかず放置状態に@@; ということで久しぶりですが。 最近自宅の引越しをしたのですが、その際に偶然見つけた佐伯啓思氏の「現代日本のリベラリズム」。1996年に書かれた本ですが、戦前を軍…