雑感

 遅れ気味の仕事を挽回すべく頑張ったのは良いのですが、少しやりすぎで身動きが取れなくなってきている昨今です(涙。相変わらず、「this time is different」と「大収縮1929−1933」との間を行ったり来たりしています。この二冊(特に後者)を読むと貨幣的要因がマクロ経済に与える影響がいかに大きいものかは明らかなのですが、なぜ、所謂我が国のエコノミストはマネーがマクロ経済に与える影響をないがしろにする傾向にあるのだろうか。現代的な視点で言えば(別に当たり前ですけど)、マネタリズム批判も何もないというのが現代の状況だというのに。結構話題になっている本だと思いますが、忙しくて読みませんかそうですか。といいますか、エコノミストが読まずして誰が読むのだろうか?
 中々エントリできない状況ですが、某アンケート結果などを拝見したり、各種議論を拝見したりしてそんなことを思いました。

若田部昌澄(編)『日本の危機管理力』

 本書はまえがきにも書かれておりますが、国家のリスクマネージメント研究会の議論から生み出されたものとのことです。日本のマクロ経済政策には危機管理の発想がかけているというのは、今回の状況においても鳩山政権の対応が遅いことからも明らかなように感じます。危機管理というと、どちらかといえば経済以外の分野で話題になることが多いと思いますが、経済政策と合わせて危機管理というものが様々な領域・分野でどのような関係がありどのような相違点・共通点があるのか、といったことが書かれているようです。
 経済関連ということですと、若田部先生、蟻川先生、竹森先生の議論が楽しみですが、テロやパンデミック、災害対応といった分野ともあわせて、危機からみた我が国の現状とはどのようなものか、という点が把握できそうです。御献本頂き誠にありがとうございます。

日本の危機管理力

日本の危機管理力

「世界金融危機」は終わったのか?(その2)

 前回のエントリでは、世界経済の現状、特に今回の危機の震源地であった米国の経済状況を金融セクターと実体経済の二つの綱引きが続く状況と指摘した。つまり金融セクターはFRB財務省による政策努力により信用危機を回避し、回復に転じている。ただしこの状況は重病人に対してFRB財務省による生命維持装置が部分的に適用されている状態に等しく、病人が完全に回復に転じ、退院するまでにはまだ時間がかかる。一方で実体経済に関しては失業率の悪化、成長率の低下、内需の低下、物価上昇率の減少というように悪化が続いている。世界経済の動向について楽観的な見方と悲観的な見方が交差しているように思われるのは、以上の相互作用が理由なのである。
 さて、今回簡単にメモしたいのは、「過去生じた金融危機がどのような形で収束に向かったか」という知見に照らした際に、今回の危機がどのような道筋を辿るのかという点についてだ。ラインハート・ロゴフ「This Time Is Different」第14章の分析を足がかりにしつつ見ていこう。

1.現状と過去の金融危機との比較
 ラインハートとロゴフは、第二次大戦後に先進国で生じた18の金融危機(うち、深刻な5つの危機:1977年のスペイン、1987年のノルウェー、1991年のフィンランドスウェーデン、1992年の日本、を含む)に加えて、新興国で生じた深刻な金融危機として、1997年から98年のアジア通貨危機、南米の通貨危機(1998年のコロンビア、2001年のアルゼンチン)、更に1929年の大恐慌、現在の危機(米国、アイルランド、英国:以上は2007年から、ハンガリーオーストリア:以上は2008年から)をサンプルとして今回の金融危機の今後を分析している。
 彼らによれば、深刻な金融危機の後に生じる経済の絵姿とは以下のような特徴を持つ。

1.資産市場の崩壊は深刻かつ長期化する。実質住宅価格は平均で35%下落し、住宅価格の下落局面は6年間続く。株価は56%程度下落し、下落局面が続くのは3年半。
2.金融危機が生じた後には、生産と雇用の長期的停滞が生じる。失業率は7%ポイント程度悪化し、停滞は4年以上続く。一人あたり実質GDPの悪化は9%、停滞は2年続く。
3.政府債務は拡大する。第二次大戦後のサンプルの平均は86%(実質ベース、危機前との比較)の拡大となる。この拡大の原因は、政府による金融機関救済や資本注入によるものというよりは、金利の上昇や、財政支出の拡大(日本の例が典型)によるものである。

 さて、この特徴を念頭に置いた場合、金融危機が生じている各国(米国、アイルランド、英国、ハンガリーオーストリア)の今後はどのように見通せるのだろうか。
 まず、住宅価格(Fig14.1)についてだが、S&Pケース・シラー指数の動向を見ると、2007年以降の住宅価格の急落には驚かされるが、これまでの米国の住宅価格の下落幅は30%未満であり、ラインハートとロゴフがサンプルとして取り上げた金融危機の平均値35%よりも低い。そして、下落局面という意味では金融危機の平均値は6年だが、米国の場合は2年半程度でしかない。尤も、下落局面の長さという意味では、日本のバブル崩壊の事例が含まれているため、これを除けば5年程度となる。因みにアイルランドアイスランドオーストリアハンガリー、英国については住宅価格の下落幅も小さく、かつ期間も短い。今後も下落幅が拡大し、長期化する可能性は高い。
 株価(Fig14.2)については、過去の金融危機の平均は56%程度、下落局面は3年半となっている。これまでの米国の株価下落率は50%未満、期間は2年半程度である。米国以外の国に目を転じると、アイスランドアイルランドオーストリアといった国々では、株価の下落は60%〜90%であり、既に金融危機の平均よりも深刻な状況である。スペイン、ハンガリー、英国といった国では株価下落率の平均値は低く、かつ期間も短い。住宅価格の下落と合わせて今後深刻化するリスクを考慮した方が良いのかもしれない。
 失業率(Fig14.3)の変化についてはどうだろうか。傾向として新興国の影響が小さく、先進国への影響が大であることがわかるが、これは新興国の場合には賃金調整によって雇用が相対的に維持される傾向があるためである。一方で先進国の場合は、雇用調整に伴うセーフティネットが整備されているため失業率の悪化が進んでいる。サンプルの平均値は7%ポイントの悪化、悪化局面は4年続くというものだ。ただし、住宅価格と同じく他の金融危機と突出して長期に渡って続いた日本のケースを除けば3年半くらいが平均といったところだろう。これまでの米国の失業率の悪化は5%ポイント程度、期間は2年半程度である。平均値をベンチマークとすれば米国の失業率は11%台となり、2010年半ばくらいまで悪化が続くことになる。
 そして、一人あたり実質GDP成長率(Fig14.4)の推移である。サンプルの平均値は9%の悪化、期間は2年である。ただし、この影響は新興国の悪化分がバイアスを与えている可能性が高い。先進国のみの影響とすれば、一人あたり実質GDPへの影響はもっと低いものになるだろう。

2.過去の金融危機インパクトから何が得られるか
 以上、ラインハートとロゴフの分析と現在の危機の状況とを簡単に比較してみた。過去の金融危機における住宅価格、株価、失業率、一人あたり実質GDP成長率の推移からは、株価への影響が深刻なアイスランドオーストリアアイルランドの状態をのぞけば、今回の危機のインパクトは、影響及び期間の二つの側面について過去の金融危機の平均水準をクリアしていないということが言える。
 そして、この類推から言えるのは、現在の危機が既に終わったものではなく、今後も続くという視点である。
 S&Pケース・シラー指数の動向をみると、住宅価格は2009年5月以降下げ止まり上昇に転じてきている。ただし上昇の動きは弱い。仮に住宅価格の水準が現状で下げ止まったとしても、恐らくは明確な形で上昇に転じるには後1年〜2年くらいはかかるのではないだろうか。現在の株価の動向を見る限り、米国の場合(S&P500)は50%未満の下落幅、かつ下落が続いたのは2年3ヶ月程度といったところか。このままで済むのならば、株価への影響は軽微であるということになる。そして平均値をベンチマークとすれば米国の失業率は11%台となり、2010年半ばくらいまで悪化が続くことになる。以上からは後1年くらいは米国の停滞は続くのではないだろうか。
 ただし、回復後の米国経済は、世界経済の一大消費地として君臨したかつての米国ではない可能性が高い。寧ろ失業率は高止まりし、住宅等の資産を梃子とした旺盛な消費は影を潜めるという姿が浮かぶ。株価の下落は今後生じず、過去の金融危機とは異なり住宅価格は反転して力強い上昇を示し、失業率も5%くらいまで改善するといった姿が現実化するのならば、まさにバーナンキはスーパーヒーローになり、今回の危機に対してバーナンキが行った金融政策は勝利を収め、更に財政政策の出番はほとんどなかったということになるだろう。尤も、現状でもヒーローの名にバーナンキはあたるのではないかとも思うが。
 しかし、残念ながらデータを見る限り、バーナンキがスーパーヒーローになる可能性は薄いということがいえるのではないだろうか。来週は、ラインハート・ロゴフ「This Time Is Different」第14章の残りの部分−政府債務の蓄積と金利、の視点を足がかりに、この点についてメモ書きしてみたい。

「二つの大恐慌」の視点から

 もう一ヶ月前になるが、EichengreenとO’Rourkeによる1930年代の世界大恐慌と今回の危機との比較分析がvoxeuにアップデートされている。
 前回(6月)の更新時点と比べると、新たに追加されたデータから見えてくる景色は異なってくる。詳細は該当のエントリをご覧頂くとして、今回のアップデートから彼らが論じるインプリケーションについて纏めつつ、簡単にメモ書きしてみたい。
 まず、世界の工業生産が増加に転じたのは明るいニュースである。世界大恐慌の際には工業生産が三年間下落を続けた。今回の危機の場合、生産の動きが反転していることが観察される。しかし懸念材料はある。論点の一つは拡大した生産が需要に結びつくのかどうかということだ。リーマン・ショック時から09年3月頃までの急激な落ち込みとその反転が在庫調整に基づくものであるのならば、今後生産が力強い伸びを持続するとは考えがたい。先進国で観察される失業率の拡大と物価の下押し、弱弱しい消費といった状況が持続するならば二番底もありえる、というのが彼らの懸念事項である。私も同様の感想である。
 世界の株式市場の動きも09年以降明確な反転が見られる。しかし大恐慌との比較という意味では、08年10月から09年にかけての株価の下落のインパクトは大きく、現状において同時期の大恐慌の水準をクリアしているわけではない。世界貿易の落ち込みも09年に入り小康状態にあり、直近値(6月)は反転している。ただし、落ち込み自体は大恐慌時と比較して大きいことには変わりはない。我が国では国際収支統計(8月速報値)が本日公表されたが、経常収支は黒字となったものの、輸出・輸入(以上季節調整値)とも前月比では2%〜3%の伸びであり、対前年同月比では3割から4割の下落といった状況には変化がない。通関統計から相手国別の輸出動向をみても、前年同月比で3割から4割の下落、前月比で数%の上昇といった傾向は変わらない。貿易の状況を見る限り、今回の危機から明確な形で脱却した国は存在していないのである。
 EichengreenとO’Rourke のFig2.及びFig3における比較や、更に、第二次大戦後の金融危機の中で今回の米国の資産価格及び住宅価格の落ち込みが最悪であり、かつ経常収支の赤字幅も最大であるという点(「This Time Is Different」13章、fig13.3〜13.5)を考慮すると、今回の金融危機が住宅価格、資産価格に与えたインパクトの大きさは最悪といえよう。最悪のインパクトに対処するために各国は最大規模の政策を行っているわけだが、現在の規模で危機を乗り切ることが出来るのかというとまだ不足している、というのが現状のようだ。
 勿論、信用危機を沈静化したというこれまでの政策の実績は評価できる。だが、問題はどこまで拡張的な経済政策を続けることが可能なのかという点である。ラインハートやロゴフの答えは、長期的な財政の維持可能性に配慮しない政策を行うのならば、ドル安と国債の暴落(長期金利の急騰)が生じるというものだが、「前門の虎、後門の狼」の懸念をクリアすべく綱渡りが要求される状況というのが現状の米国の姿なのかもしれない。

Reinhart and Rogoff, This Time Is Different

 既に各所で紹介されている模様ですが、ラインハートとロゴフによる「This Time Is Different」をやっと購入しました。この本は副題にもあるとおり、過去800年(西暦1200年!)間の歴史の中で生じた金融危機の経験を数量的に類型化し、特徴を掴みながら実証的に分析を行っているという本です。
 勿論、危機の種類に応じて対象とする年次は異なります。データとして分析されているのは、大体1800年代以降が多い模様。本書の元となった論文はご存知のとおり、以下の二つです。キンドルバーガーの『熱狂、恐慌、崩壊』はクロニクルな整理・分析がなされているわけですが、金融危機について多少なりとも知識が無いと少々読みづらいのではとも感じます。個人的には数量的な側面から分析した本書の方が好みですね。

http://www.nber.org/papers/w13761 (この内容は本書の13章に収録の模様)
http://www.nber.org/papers/w13882 (この内容は本書の5,6,7章あたり?に収録の模様)

※ドラフトバージョンですと以下のリンクから読めます。もしご購入を検討の向きは、こちらを一読の上、判断されても良いのではとも思います。(ただし、本ではドラフト中のデータはアップデートされており、印象は結構違う(汗。)
http://www.economics.harvard.edu/files/faculty/51_Is_The_US_Subprime_Crisis_So_Different.pdf
http://www.economics.harvard.edu/files/faculty/51_This_Time_Is_Different.pdf

 金融危機として対象としているのは、a)債務超過に伴うインフレ(年率20%以上、40%以上のものについては別に分析)、b)通貨危機基軸通貨に対する15%以上の減価)、c)通貨単位の変更を伴うもの(金本位制であれば金含有量の5%以上の減少を伴うもの、及びジンバブエ危機)、d)銀行危機(取り付け及び一時閉鎖・国有化等を伴うもの)、e)対外・対内債務の破綻の5つです。これらについて章を設けながら分析が進められていきます。
 第1章〜第3章が分析対象とする金融危機の内容と類型化、そして鍵概念、データベースについての説明、第4章から6章が対外債務の破綻による金融危機の分析、第7章から9章が対内債務(こういう言い方が良いのかわかりませんが)の破綻に関するもの、そして債務破綻に関する分析のまとめ、第10章から12章が銀行危機及び通貨危機についての分析といったところです。第13章から16章がサブプライム危機から世界金融危機についての分析ですが、ここに1章から12章までの知見が生きてくるわけですね。17章が危機からの教訓についてふれられます。
 本書が強調するのは、ブームの際に皆が感じ、かつブームを自己実現化させる「THIS TIME IS DIFFERENT(今回は違う)」という考え方は誤りだという点です。つまり、言いたいのは「TIME IS NOT DIFFERENT(今回も同じ)」ということです。今回の世界金融危機を増幅させた複雑な証券化というスキームやレバレッジといった要素が無かったとしても恐らく危機は生じただろうと彼等は論じますが、それはその通りでしょう。
 経済の好ましい環境が続くことでバブルが生まれ、そして「THIS TIME IS DIFFERENT(今回は違う)」という観念が人々を更なるバブルへと突き動かす。だが、この自己実現的な好循環過程はいつか終わるわけです。「TIME IS NOT DIFFERENT(今回も同じ)」なのだとしたら、何が生じるのか。何を教訓とすべきなのか。このあたりは本書を読んでのお楽しみといったところでしょうか。多分邦訳が出されると思うのですが、その前に一通り読む予定です。

This Time Is Different: Eight Centuries of Financial Folly

This Time Is Different: Eight Centuries of Financial Folly

深尾京司編『バブル/デフレ期の日本経済と経済政策研究1 マクロ経済と産業構造』

 既に何度かESRIの国際コンファランス等でも内容の一端が公開されており、非常に楽しみにしていた訳ですが、やはりこの本は取り上げなくてはなりませんね。
 「バブル/デフレ期の日本経済と経済政策研究」は分析評価編、歴史編、国際共同研究、総括編の4項目からなっており、表題に取り上げた深尾先生編集の書籍は、分析評価編(全7巻)のうちの第一巻として刊行されたものです。個人的にはもう少し早めに公刊していただければ嬉しかったのですが・・・そんな文句は言いますまい。全て入手する予定ですが、いずれも凄く楽しみ。

ちょっと前に公表されていたESRIからの案内情報は以下のとおりです。歴史編・国際共同研究・総括編も楽しみですね。
http://www.esri.go.jp/jp/info20090904.html

マクロ経済と産業構造 (バブル デフレ期の日本経済と経済政策)

マクロ経済と産業構造 (バブル デフレ期の日本経済と経済政策)

何これ?

 本当はこちらをネタに統計データ等でメモ書きをしようと思ったのだが、そんな時間は案の定なくなってしまったので簡単に。
 まずは問題の記事。民主党さんがマクロ経済政策の必要性について多少なりとも問題意識をお持ちだということは分かりましたが、内容をきちんと公開して欲しいところ。後、マーケットエコノミストの皆さんは、目先何が生じているのかには精通しているかもしれませんが、何をすべきかについては基本的に頓珍漢なことを仰る傾向が強いので、別の方を今後呼んだ方が良いかと思いますよ。
 そのあたり、津村政務官が金融政策の評価を質したのに対して「日銀の対策が適切である」という評価が出てくるところからも明らかです。日銀に首根っこを掴まれている人達なので、コアベースのみならずコアコアベースでも物価が下がっている状況、BEIもマイナスが続き、GDPデフレーターも既に内需デフレーターはマイナスで原材料価格の影響が剥落すれば又デフレに逆戻りという形でデフレに関する証拠には枚挙に暇が無い状況で、「日銀の対策が適切である」とか「踊り場だから次の対策は必要ない」とか言うのは無理がありますね。
 そりゃ、2年先にはちょっとだけ物価が上がっているかもしれませんから、その意味では今は何もやる必要がないという理屈なら知りませんが(笑。

 [東京 2日 ロイター] 内閣府は2日、初の「マーケット・アイ・ミーティング」を開き、マーケットエコノミストらから、長期金利・株・為替動向やマクロ経済政策、雇用政策についてヒアリングした。会議に出席した菅直人・副総理兼国家戦略担当・経済財政政策担当相など政務3役はもっぱら聞き役に徹し、実効性ある緊急雇用対策の具体策や補正予算執行停止による経済への影響、金融政策の評価などに質問が及んだ。
 冒頭、菅経済財政政策担当相は「今の時期、何を言っても危ないので、しゃべらないようにと言われた」とし「忌憚のない話を伺いたい」と挨拶。ヒアリング後の質疑応答では、政府として緊急雇用対策検討の必要性に言及し、具体策の助言を求めた。出席者からは、当面厳しい雇用環境が続くことから、「雇用調整助成金を活用した雇用維持策を緩めないことが重要。求人が回復しないなかでの失業対策では、職業訓練が有効で、特にサービス業への労働移動に現在の職業訓練メニューが十分対応していないことから、さらなる強化・拡大が必要」(大久保幸夫リクルートワークス研究所所長)との指摘があった。
 また、津村啓介内閣府大臣政務官が金融政策の評価を質したのに対して、日銀の政策は適切との評価が相次いだ後、「様々なリスク要因があり次の一歩を踏み出せる状況ではない」(末澤豪謙・元大和証券SMBCチーフエコノミスト)、「踊り場であれば追加的な政策を取る必要はない」(河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト)との指摘が上がった。
 会議には、政務3役の菅直人経済財政担当相、古川元久内閣府副大臣津村啓介内閣府大臣政務官が出席。末澤豪謙・元大和証券SMBCチーフエコノミスト(現日興コーディアル証券国際市場分析部)、河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト、北野一・JPモルガン証券チーフストラテジスト、大久保幸夫リクルートワークス研究所所長、芳賀沼千里・野村証券金融経済研究所ストラテジストから意見を求めた。
 「マーケット・アイ・ミーティング」は、新政権が打ち出した「市場対話重視」の経済運営を行うためのヒアリングの場として、30日の政務3役会議で決まった。民間エコノミストは特定せず、今後も週1回のペースで開催する予定。

 後、このような形で様々なエコノミストの議論を聞いた上で「なんとなく、玉虫色的に」政策を決めていくということが狙いなのだとしたら、それは麻生政権の経済対策の二の舞ですねorz....。詳細は高橋さんの新著をご覧の程を。