経済(海外)

チャールズ・R・モリス「なぜアメリカ経済は崩壊に向かうのか」(山岡洋一訳)

サブプライム問題にあえぐ米国経済を論じた書籍としては、ブックステーバー「市場リスク 暴落は必然か」と比較してより分かり易い印象。読みやすいので一気に読めてしまう印象です。私が疑問(というか今後どうなるか注視したいと感じている)論点が、「日本…

ビョルン・ロンボルグ 「地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す」(山形浩生訳)

積読本が溜まっていて中々処理できそうもありませんので後になってしまうと思いますが、気になっている本の一つです。 自然を破壊するという原罪を背負った存在が人間ならば、その原罪のどうしようもなさを深く自覚して己の持つ熱量を最大限に活用しつつ、ち…

アラン S. ブラインダー『中央銀行の「静かなる革命」』

ブラインダー教授がイェール大学で行ったオークン記念講演の模様を纏めたもの。中央銀行に関する論点として、1.中央銀行の透明性、2.中央銀行の意思決定の方法(委員会による運営)、3.中央銀行と市場との関係の三つにつき論じられています。最後に植田先生…

The First Global Financial Crisis of the 21st Century(Edited by Andrew Felton and Carmen Rienhart)

僕もよく参照している(&ブログにも書いている)VoxEUですが、サブプライムローン問題関連の論説を纏めて一冊の本にしたとのことです。昨年の8月からの過程を辿りつつ今を捉える上でも参考になりますね。即ダウンロード可能(無料)なのでお早めに。 http:/…

Speculation and Signatures(by Krugman)に関する議論の続き

Marginal Revolutionでの反応 (http://www.marginalrevolution.com/marginalrevolution/2008/06/exasperating-pa.html)ちょっと眠いのでスミマセンが、こちらでの吉岡さんにご指摘頂いた点と同様の点をCowenも指摘しているようですね。後、在庫の話も。The…

Speculation and Signatures(by Krugman)

上で取り上げた論争に関連して、原油価格高騰の原因についてクルーグマンが議論の整理をしています。ということで簡単にメモ。・まず、クルーグマンは、原油価格とその期待変化率との間の関係は右下がりであるとし、この関係を縦軸に原油価格、横軸に期待変…

興味深い話題

僕も例によってNHKスペシャルは見逃したくちなのですが、Hicksianさんと梶ピエール先生のところの話題は興味深い。直球ど真ん中といったところでしょうか。さてこのあたりは私も調べているところなのですが、形になるのはいつのことやら。http://d.hatena.ne…

Amecican Economic Review (Vol.98,No.2,May 2008)

一昨日自宅に届きましたが、分厚くてかつ様々な領域について記載されていて勉強になりますね。中々壮観。 http://www.aeaweb.org/issue.php?journal=AER&volume=98&issue=2

スティグリッツ教授とロゴフ教授のProject Syndicate論説

メモ。斜め読みですが、スティグリッツ教授の方は以前纏めた論説に関連して、原材料価格の高騰に対しての先進国から途上国への所得移転・技術供与を主張するというもの、ロゴフ教授の方がオイルマネーと通貨としてのドルの話だし個人的には面白そうかなぁ。…

資産価格の変動と金融政策

アメリカの金融政策を考える際に必ず参照するのが地主敏樹「アメリカの金融政策」(以下、地主(2006)と呼称)なのだが、何度目になるか忘れたが、又再度読み直しているところである。毎回発見があって面白い。 地主(2006)でも指摘されているように、「資…

「2008米国経済白書」(エコノミスト臨時増刊号)

毎年この時期になると米国経済白書の邦訳が出るのを楽しみにしています。本家は2月に出ているわけですが、今回は、信用・住宅市場に関する分析(2章)、輸出を基点とした成長に関する分析(3章)、税制に関する分析(5章)、エネルギー問題(7章)、経済統計…

バーナンキの「金融政策」とは何か?

岡田靖「FED型危機対応への批判と本当の評価」(ロイターのインサイトコラム)から。今回の岡田さんの論説は、FED型の危機対応策(所謂FEDビュー)に対する批判に関して、グリーンスパンの政策がサブプライム問題を生み出したのか、バブルについての誤解、そ…

Jeffrey Frankel,"The Effect of Monetary Policy on Real Commodity Prices"

VOX経由。論文自体はこちら(http://ksghome.harvard.edu/~jfrankel/CampbellM&CPnberNov.pdf)。自分用のメモです。

原材料価格高騰によるグローバル・インフレーションの進展にどのように対処すべきか?

既に報道されているところだが、日銀金融研究所主催の国際コンファランスでテイラー教授が昨今の原材料価格の高騰に対する政策として「グローバル・インフレーション・ターゲティング」を提唱した*1。詳細な議論は不明だが、報道を読む限りではテイラー教授…

Fed Chairman Game

本石町日記さんの方でご紹介されていたもの。既にお読みの方も多いと思いますが、中々興味深い&面白いのでご紹介。 様々な経済ニュース(情報)を元に、利上げをするか利下げをするか判断して、規定期間内にターゲットゾーンに納めるというもの。ターゲット…

芥田知至「緊急改訂 知られていない原油価格高騰の謎」

芥田さんによる原油市場に関する解説書。以前刊行された書籍に直近の動向を加えた上で刊行されたものです。基本から解説されているので原油市場の価格形成の枠組みや、石油価格の高騰要因・その先に見えるもの、各国への影響等々がわかりやすい。 原油をはじ…

竹森俊平「地球を読む」(5月25日読売新聞朝刊掲載)を読む。

5月25日朝刊で竹森教授の論説が掲載されていた。著作権保護のためだと思うが、ネットでは論説が掲載されていない模様だ。以下、竹森論説を紹介することで他紙を購読されている方の便宜に供しつつ、感想を書くことにしたい。1.サブプライム問題の現状につい…

スティグリッツ・グリーンワルド「新しい金融論 信用と情報の経済学」

某所でも話題になっていましたので、今更感はありますが復習してみたい書籍。新しい金融論―信用と情報の経済学作者: J・E・スティグリッツ,ブルースグリーンウォルド,ジョセフ・E.スティグリッツ,Joseph E. Stiglitz出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: …

J.E.スティグリッツ「The Failure of Inflation Targeting」(in Project Syndicate)を読む。

近著(「スティグリッツ教授の経済教室−グローバル経済のトピックスを読み解く」、ダイヤモンド社)において我が国はインフレターゲティング政策を導入すべきでない(同掲書:p25)と論じるスティグリッツ教授*1だが、Project Syndicateに投稿された本論考の…

糠谷英輝「中東マネーとイスラム金融」

原油市場の動きがどうなっているか、そしてその対外的なインパクトを考えていくための御勉強本として購入。最新の動向を含めてきちんと纏まっているので、全体像を掴むには便利な本だと思います。読みやすい。中東マネーとイスラム金融作者: 糠谷英輝出版社/…

面白そうな論文三点等々

メモ代わり。JEL(Journal of Economic Literature)の最新号(2008年3月)から。サマリーはリンク先から読めます。・Sudhir Anand and Paul Segal,What Do We Know about Global Income Inequality? こちらはグローバルな不平等度に関する近年の実証研究のレ…

住宅市場の成熟度と金融政策

金融政策を考えるにあたって、住宅市場の成熟度が実態経済にどのような影響を与えるのかという点は重要な意味を持ちつつあるのかもしれない。住宅市場が成熟している欧米諸国において住宅市場の動向が他のセクター、景気循環に与える影響はより大きくなって…

フレッケンシュタイン・シーハン「グリーンスパンの正体 2つのバブルを生み出した男」

中々面白く・興味深い論点を含んだ本です。90年代の米国経済の力強い成長を可能にさせたグリーンスパンの金融政策が結局は現在のサブプライムローン問題の温床ではないのかという批判は問題の深刻化とともに大きくなっているわけですが、本書はグリーンスパ…

岡田靖「景気後退と資源高、両面の課題に直面するFRB」を読む。

http://special.reuters.co.jp/contents/insight/index_article.html?storyID=2008-03-07T043007Z_01_TK0080185_RTRIDST_0_ZHAESMA06696.XMLから。 既にご案内のとおり、我が国の為替レートは円高が進み、1ドル=100円ラインを突破する勢いである。これは裏…

中尾武彦「アメリカの経済政策 強さは維持できるのか」

本屋で偶々見つけた一冊。ここ十年の日米経済の格差の拡大は数字で確認すると明らかなのですが、本書はその意味するところを分かり易く論じています。後段の米国マクロ経済政策の評価や米国金融セクターに対する経済政策あたりが興味深いところだと思います…

田中秀臣「不謹慎な経済学」

田中先生の「不謹慎な経済学」、本日発売ということなのでご紹介。ちょっと会社近所の本屋を巡ってきましたが、さすがにまだ店頭には無い模様です。丸善とか八重洲ブックセンターとかにはあるのだろうか。内容は様々な話題を経済学で斬る!というものです。…

世界的な対外不均衡の拡大、資源価格高騰と我が国のデフレ(その1)

サブプライムローン問題の深刻化に伴い、米国経済は現在、景気後退の様相を呈しているとの声が聞かれるようになった。周知のとおりIMFやOECDといった機関においてもこれまでの成長率を下方修正する動きが進んでおり、世界経済の成長は少なくとも一旦は減速す…

サブプライムローン問題と米国経済の行方

Economistや各種ブログでも話題のReinhart and Rogoff(2008)*1。我が国のバブル崩壊から失われた十数年にいたる「人災」の道筋の言及とこのReinhart and Rogoff(2008)を交えた竹森俊平教授の論説は今週号のエコノミストをご覧頂きたいが、以下、論文の概要を…

Whats New in Econometrics?(by Wooldridge)

NBERのサイト。ちょっと前から出てますが、パネルデータ分析の講義を(タダで)視聴できるという優れもの。 中々為になります*1。ご参考まで。http://www.nber.org/minicourse3.html *1:K君、教えてくれて有難う!

ラニー・エーベンシュタイン(大野一訳)「最強の経済学者 ミルトン・フリードマン」

フリードマンに関する伝記は既に沢山出ており、僕も読んだこともあるのですが、ちょっと最初の方を読んでいたらどうにも立ち読みですまなくなってしまったので購入(汗。面白いです。個人的には巻末に納められているインタビューも興味深い。含蓄あるよなぁ…